弘前学院大学(吉岡利忠学長)は、文学部、社会福祉学部、看護学部の三学部が連携し、医療現場でのやりとりを約500語の津軽弁を使って再現したDVD教材を作製した。方言学が専門の今村かほる准教授らを中心に作製したもので、今村准教授は「保健、医療、福祉の現場で直接地域をつくる人材、津軽の各地で活躍する人材を育てたい」と話した。
今村准教授は方言学研究のため、方言データベース作りを行っており、アンケート集計などから約3千語を集計。この中から「あんべ(具合)」、「やめる(内側から痛い)」など、よく使われる約500語を使って教材を作製した。
今村准教授は2008年6月から台本作りに取り組み、今年3月から撮影を開始。今回は看護師による腹痛患者の問診場面など三つの場面を、標準語と津軽弁の両バージョンで作製した。
教材は、2007、08年に「保健医療福祉と方言」をテーマに講義を続けてきた文学部の1年生以上を対象とする、文学、言語を中心した一般教育科目「地域研究B」で新年度から活用する方針。「地域研究B」ではこれまで、吉岡学長や文学部の井上諭一教授、今村准教授ら三学部の六人の教員が一教科を担当し、学部の垣根を越えた教育に取り組んできた。
看護学部で教材づくりに協力した看護学部の工藤千賀子講師は「実習で患者が話す方言が分からず、会話に戸惑ったという学生もいた」と話し、「方言を使うというより、患者の気持ちをくみ取る上で方言の微妙なニュアンスを理解する手助けになるのではないか」と話す。
教材は今後、介護などの場面設定での教材づくりを予定しており、他学部での活用も検討している。
【写真説明】看護師による問診場面の撮影に臨む今村准教授(右)ら