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竹尾で働いていらした、尾川さんを迎えての第3回目となった紙のキホンの基本。
今回は、紙の風合いによって大きくインクの色が変化する特殊紙についてお話ししていただきました。
ここをご覧になっている方は、特殊紙…?と思われる方もいるかもしれませんね。
少しだけ、特殊紙についてお話ししておきましょう。
皆さんが普段目にする、ポスターに使われている白い紙や書籍の本文に使われている紙。
これらは、印刷することにより表現を持つようになる「一般紙」とよばれます。(そのままでは白い紙になってしまいますね)
それに対して特殊紙(ファンシーペーパーなどとも言います)は、一般に色がついていて、紙そのものにさまざまな色や模様、柄、風合いなどがあり、
それぞれが独特の特徴ある表情を持っています。
特殊紙は紙の風合いそのままを活かしていろいろな用途に活用できます。さて、長くなってしまいましたが、ここまで踏まえて頂いた上で今回の講演の内容をご紹介したいと思います。
紙のキホンの基本〜第3回〜特殊紙
まずは、同じインクでも紙の色が違うと仕上がりの見え方が違うという、見本から。
なぜなら、印刷に使うインクは色のついた透明のインクだからです。
(黒、シアン、マゼンタ、イエローの4色です)
当然、透明なので下の紙の色が透けてしまうわけですね。
今回は、竹尾のファーストヴィンテージという紙の見本を使って説明をしていただきました。
このように、同じインクからスタートしても、黄色っぽい紙に印刷すれば緑っぽい色に。
赤っぽい紙に印刷すれば紫っぽい色になります。
それを理解したうえで、今回、学生がとても興味を示していた印刷見本はNTラシャという紙の印刷見本。
このひまわりの写真。
実は黄色のインクは使っていないそうなのです。
その証拠に、後ろに刷り色が載っています。
オペークホワイト(不透明白)・シアン・マゼンタ・ブラック
とだけ書いてありますね。
つまり、おおざっぱに言ってしまえば、ひまわりの花びらの黄色は、紙の色だけで表現されている箇所があります。
同様に、茎の緑も青いインクと黄色い紙の組み合わせでできているのです。
残念ながら、一般の方にお配りしている見本ではないので入手はできないそうです。
それと同時に、加工のあれこれやデザインの可能性についてもお話ししていただきました。
フロッキー加工と言う加工。
短い毛がフェルトのようにびっしりとついています。最大15センチくらいの長さの毛も可能だそうです。
加工の世界もこの他に、金箔やエンボス、デボス、UV厚盛り等たくさんあります。
(このブログではご紹介しきれいないのが残念です)
最後に、デザインの可能性として
「紙の知識・名前を知るのはとても重要なことですが、その名前や用途にとらわれずに、自由な発想をして紙屋さんをいい意味で裏切ってください」
とお話ししてくださいました。
デザイナーの思いつきから、紙業界ではタブーな事がデザインに転換することも多いそうです。
卒業年度生を対象に行った講演でしたが、みんな興味深そうに聞いていました。
3回行った講演で、紙のほんの最初の知識だけですが、皆さんにしってもらう貴重な3回となりました。
東美ではこういった講演も行っています。