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女優の多部未華子(20)が見えない羽で飛躍する。30日スタートのNHK連続テレビ小説「つばさ」(月~土曜・前8時15分)に主演。朝ドラ初の平成生まれのヒロインは「何事にも臨機応変に対応したい」と夢や目標は持たない主義で、はっきりとは映らないが、確かな魅力で周囲を引きつける。老舗和菓子店のハタチのおかん役にふさわしい、飾り気のない言葉で「(今作で)何か変わるのでは」と自らの成長を予感している。
多部が演じるのは、家出した母親(高畑淳子)の代わりに、幼い頃から和菓子店の一家を支える玉木つばさ。現役女子大生でもある多部は、同じ20歳の主人公の奮闘ぶりに共感しつつ「つばさは主婦になるのが夢だったから。夢がないわけじゃないんですよね。自分はすごい現実的だと思うんです」と語る。
お茶の間で踊るサンバダンサーズに、家の中を走るトロッコなど「朝ドラ史上、最もバカバカしく切ないものに」(後藤高久チーフプロデューサー)という演出にも「やらないで、できませんというのはないです。何事にも臨機応変に対応できるように。役に対しても自分のことに対しても、あまり決め込みたくないんです」。落ち着いた芯の強さをのぞかせる。
小学5年時に見たミュージカル「アニー」にあこがれた。主演映画「HINOKIO」などで05年度ブルーリボン賞新人賞に輝き、日テレ系「ヤスコとケンジ」などドラマの経験も豊富だが「そのミュージカルに出たいというのが、生まれて初めて見た最大の夢。それ以来、止まっているというか。女優じゃなかったら? フリーターだったと思う。目標を見つけないと、と思っているわけじゃないし、今後も持たないんじゃないかと思う」。真っ白ではない。透明な翼を広げているようだ。
関係者によれば、今作のオーディション応募を知らされた時も、多部は「うん、わかった」の二つ返事。気概も感じさせず、1593人の中から主役を射止めた。重圧とは無縁に見えるが、母親には枕元に台本を置く姿を珍しく思われたという。「家の中で読んだことが、ほとんどなかったんですけど。スタイルを変えざるを得ないくらい(セリフが)多いので」
自然と自覚も芽生えたのか。現場では周囲に声を掛け、盛り上げ役も買う。「きょうは皆、元気ないなとか。疲れているなとか。毎日いるんで、思うだけですかね。私もテンパったり、緊張したりするんですけど、してないように見られるんです。むしろ、もうちょっと察してほしい」やっと年頃の笑みが浮かんだ。
「今は1日撮る量をこなしていくことに精いっぱい。撮影が終わるころには、何かしら変わっているのではないかと。期待してる? はい」
◆多部 未華子(たべ・みかこ)1989年1月25日、東京都生まれ。20歳。中学2年時の02年にスカウトされ、女優デビュー。映画「ルート225」「西遊記」、ドラマ「山田太郎ものがたり」「鹿男あをによし」などに出演し、CMでも活躍している。趣味はジャズダンス、吉本新喜劇鑑賞。カラオケの十八番はKiroro「長い間」。血液型O。
(2009年3月28日06時03分 スポーツ報知)