現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 政治
  4. 国政
  5. 記事

国道建設約20件凍結、国交省方針 経済効果薄いと判断

2009年3月30日3時0分

 国土交通省は29日、建設中の直轄国道約600件のうち18件前後の建設を凍結する方針を固めた。費用に見合う経済効果が得られないと判断した。09年度予算に盛り込まれた約400億円の執行をやめる。地方負担を含めた事業費は約5千億円。公共事業は事業再評価で停止されるが、直轄国道の凍結は過去5年間で数件にとどまり、今回は異例。関係自治体の反発も予想される。

 道路建設は、「交通需要は2020年代まで伸びる」とする02年時点の需要予測を前提にしてきた。だが、野党などから「過大な予測だ」と批判が高まり、国交省は昨年11月、予測を大幅に下方修正、交通量は03年には減少に転じたとした。道路の着工は、渋滞解消などの「便益」が、建設に伴う「費用」を上回ることが条件。国交省は新しい予測に基づき整備中の約600件(事業費約10兆円)の見直しを行っていた。

 凍結事業には、「準高速道路」の地域高規格道路も含まれる。すでに数百億円の事業費がつぎ込まれているが、建設を続けても十分な便益は見込めないと判断した。路線名は31日に公表し、関係する地方自治体と、計画の修正を含め事業の存廃について協議に入る。

 道路の経済効果については、民主党の馬淵澄夫・衆院議員も独自の試算をもとに、国道232号天塩バイパス(北海道)、国道168号十津川道路(奈良)、国道58号名護東道路(沖縄)など約50件が建設着工の基準を満たしていない、と指摘している。

 国交省は、政府が整備方針を決めている全国の高速道路網1万4千キロの未整備区間2900キロも再評価を行うが、凍結路線が出るのは必至だ。

 公共事業について国交省は00〜07年度に9千件の再評価を行い、350件を停止している。ただ直轄国道は経済効果が高いとされ、止まる例はほとんどなく、07年度も0件。

 しかし、政府・与党は、公共事業を景気浮揚策の柱として位置づけており、景気の落ち込みが激しい地方からは反発が予想される。(座小田英史)

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内