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【社会】『さらば涙』歓喜の圧勝 千葉知事に森田氏 『政党関係ない』2009年3月30日 朝刊
西松建設の巨額献金事件の影響が注目された二十九日投開票の千葉県知事選は、二度目のチャレンジとなった森田健作氏(59)が初当選した。俳優としての抜群の知名度も生かし、宮崎県や大阪府に続き、新たな“タレント知事”が誕生することになった。 今年還暦を迎えるとは思えない若々しさで、選挙戦を駆け抜けた森田氏。同日午後八時に投票が締め切られた直後、報道各社は「当選確実」と速報した。 千葉市中央区の事務所は開票前から「当選御礼」の札が張られ、支持者が握手を交わしたり抱き合ったりして祝賀ムード一色。ホテルで待機していた主役が現れると、割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。もみくちゃになりながら登壇した森田氏は「政党など関係ない。皆さんの総合力で当選できた」と感極まった様子。「千葉県日本一を目指し頑張ろう」と声を張り上げた。 森田氏は四年前の落選翌日の朝、「(獲得した)九十五万票の県民の思いは無駄にはできない」と再出馬を決意。衆院選、参院選に声がかかっても断り続けた。一方で四百回を超える講演会やミニ集会を繰り返し、千葉への思いを訴えた。 十八年前、千葉県芝山町に移り住んだ。「千葉の人情にほれた。骨を埋める」と決め、「子どもや孫のために、誇りを持てる千葉をつくりたい」との思いが膨らんだという。 財政難、三番瀬などの環境問題、医療問題など県政は課題が山積み。しかし、祝勝会に臨んだ森田氏は、テレビドラマ「おれは男だ!」で主演した時と同じ力強い表情で、舵(かじ)取りへの意気込みを新たにした。 一方、民主党推薦で森田氏を追走し、及ばなかった吉田平氏(49)は、小沢一郎代表側への巨額献金事件が選挙戦に影響したとの見方は否定。「自分の実力が足りなかった。しかし、政権交代の大きなうねりは変わらない」と淡々と語った。 ◆『西松事件で手応え』森田氏陣営千葉県知事選のさなかに民主党小沢一郎代表の秘書が起訴された西松建設の巨額献金事件。自民党県議の約半数が支援し、初当選した森田健作氏の陣営からは「事件で相手が落ちていった」との声も出た。 森田氏陣営の女性ボランティア(38)は「小沢氏は許せないという電話がいくつもあった。無党派層の支持が集まっている手応えを感じた」と振り返った。支援者の男性(46)は「前回からの知名度の高さも勝利の要因」としながらも「事件で相手が伸び悩んだと思う」と話す。 一方、民主党などが推薦した吉田平氏側。選対幹部は「予想より(森田氏に)大きく離された。秘書の逮捕前は伸びていた。その後、運動量を増やしても差は縮まらなかった」。応援した民主党の田嶋要衆院議員は「せっかく民主党が推薦をして頑張っていこうという時に西松事件が起きた。候補はつらい立場だっただろう」と言った。吉田氏は報道陣に「事件の影響がなかったといったらうそになる。どんな選挙でも勝てる人は勝っている」とした。
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