「上限千円で乗り放題」。地方圏の高速道路で、きのうから土日祝日の通行料金の大幅値下げが始まった。長距離ドライブを楽しんでいる人も多かろう。
各地で渋滞が発生するなど混雑が続いている。各自治体は観光振興策を競って地域発展に結び付けるチャンスでもある。一方、交通量の増大に伴い懸念されるのが交通事故だ。
とりわけ気掛かりなのは、急増する高齢ドライバー。近年、高速道路を逆走したり、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる人身事故などが目立つからだ。
主な原因は、加齢に伴う運動能力や判断力の低下である。認知症によるものも多いという。警察庁によると、七十歳以上の免許保有者は約六百十六万人(二〇〇七年末)。うち三十万人以上が認知症ドライバーとみられている。
六月から七十五歳以上のドライバーは、免許更新時に認知機能検査が義務付けられる。記憶・判断力がチェックされ、認知症と診断されれば免許取り消しの対象となる。
運転に不安を抱く高齢者が免許証を自主返納するケースも着実に増えつつあるが、過疎地では「生活の足」として手放せない実態も。高齢者が安心して暮らせる交通環境づくりを考える視点も必要だろう。ともあれ、高速道路を利用しての遠出はくれぐれも安全運転を願いたい。