雇用状況の悪化に伴い仕事や住まいを失った人を支援しようと、専門家が相談を受けたり炊き出しをする「ぐんま派遣村」が26日、前橋市の前橋公園などで開かれた。朝から晴れ間が広がったが、気温は上がらず冷え込む中、住まい探しや医療相談などブースごとにテントが並び、おにぎりや豚汁など食事のサービスに列ができた。
主催したのは、県社会保障推進協議会(社保協)▽県民主医療機関連合会(民医連)▽自由法曹団群馬支部▽県労働組合会議(県労会議)▽福音伝道教団前橋キリスト教会--などの関係者で組織する実行委員会。午前10時から午後5時まで、医療や法律、労働の専門家が健康、雇用、労働組合活動、生活保護などの相談に乗った。
開村式で実行委の長谷川彰事務局長は「この取り組みを通じて、行政・市町村を動かし、地域にも広げていきたい」とあいさつ。受け付けを済ませた人たちが、それぞれの相談窓口に足を運んだ。
公園そばの県教育会館では労働・生活相談があり、3階の会議室内を九つに分けて、専門家が相談にあたった。高崎市から来た男性(46)は同市内の電子関係の会社で働いていたが、昨年12月中旬、派遣契約の更新を打ち切られた。会社の寮を出され、市内の弟方に居候中といい「仕事はなかなか見つからないが、まず住むところがほしい。敷金・礼金なしのところを紹介してもらうことになった」と期待を寄せた。
一方、JR高崎駅で寝泊まりしているという男性(48)は働き口を求めて派遣村にやってきたが、仕事のあっせんはしないため、生活保護を申請することになり、高崎市役所に向かった。男性は埼玉県熊谷市のエアコン整備会社に勤めていたが、昨年12月に失職、1月中旬に寮を出た。
健康ランドなどを転々としながら職を探したが見つからず、所持金が底を突いた。男性は「2カ月もこういう生活をしていると仕事をする意欲がなくなってしまう。住むところを見つけて、早く仕事に就きたい」と力を込めた。
ぐんま派遣村は1日だけの取り組みだったが、実行委の集計では100人を超す人が会場を訪れた。相談件数は58件。ボランティアは100人の募集に325人が集まった。【畑広志】
毎日新聞 2009年3月27日 地方版