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« 捜査過程に関する情報を,虚実交えてマスメディアに「リーク」すること自体が「法に基づかない」行動 | Accueil | 野党第一党たる民主党が政権を取ったときには大変なことになるという非常に党派的なエントリーを掲げておきながら,現政権与党との密接な関係を指摘されることは気に食わないというのは虫が良すぎるのではないか »

14/03/2009

確実な事実であってもリークすべきではない。

 先ほどのエントリーに対して,矢部善朗弁護士・創価大学法科大学院教授(刑事法)が次のように述べています。

 小倉弁護士が、「検察が,捜査過程に関する情報を,虚実交えてマスメディアに『リーク』すること自体が「法に基づかない」行動です。」(強調はモトケン)と述べていることからしますと、確実な情報をリークすることも虚偽の情報をリークすることも同列においておられるようですけど、私は同列に論じていいものかどうか決めかねています。

 虚偽情報のリークは問題なしにアウト(つまり違法)でしょう。

 不確実情報のリークもアウトだと思います。

 では、確実な事実(少なくともリーク時点では確実と思われた事実)についてはどうでしょうか。

 警察や検察等の捜査機関が国家権力を用いて情報収集を行うことが認められている理由を考えれば,少なくともリークした時点では確実であると思っていたとしても,そのようにして収集した情報を非公式に漏洩することは許されるべきではありません。それは,公的に収集した情報の目的外使用に他なりません。しかも,そのようにして収集され,漏洩される情報の多くは,個人のプライバシー情報であったり,企業の営業機密だったりするわけです。もちろん,それらの情報が裁判手続の中で証拠等として公判廷に提出されることにより公衆のするところとなることは,公訴事実との関係で必要やむを得ない限度にとどまる限りは,裁判制度が存在する以上我々はそれを甘受せざるを得ないわけですが,「リーク」というのは裁判制度とは無関係のところで行われるわけですから,我々がそれを甘受しなければならない理由はありません。また,証拠等として裁判所に提出するつもりのない情報を,「リーク」という形でマスメディアを通じて裁判官に予めインプットしてしまうことも,捜査機関のあり方として適切さを欠いているように思います。

 また,矢部弁護士は,次のように述べています。

 民主党が政権を取った場合にそのような非公式の「リーク」を規制するということであれば,それはそれで望ましいのではないかと思われます。
 ここの重大な疑問が生じます。

 なぜ、「民主党が政権を取った場合に」という条件がつくのでしょうか?

 小倉弁護士自身が指摘した情報リークの弊害は、民主党の政権奪取となにか関係があるのでしょうか?

 どの政党が政権に就こうが、等しく問題になるのではないでしょうか?

 不思議なけちの付け方をする人もいるものです。自公連立政権において捜査機関による非公式の「リーク」を規制する立法が行われるのであればそれはそれで望ましいことだと思います。ただ,公明党には弁護士資格を有する議員も多く,捜査機関による恣意的な「リーク」に問題があることを十分知っていながら,これまでこの問題を放置してきたわけですから,このまま自公連立政権が続いた場合にこの問題が適切に対処されることをあまり期待できないと考えるのは自然なことでしょう。また,検察による恣意的な「リーク」が功を奏して自公連立政権が次の選挙で勝利することがあれば,自公連立政権は検察にいわば「借りを作る」わけですから,そのような自公連立政権下で捜査機関による恣意的な「リーク」を規制する立法がなされる可能性は著しく低いと言わざるを得ません。

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