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インタビュー
『I am 日本人』森田健作インタビュー
森田健作
時代の波に乗ることも大事だけど、ここはというときは時代を創ることも大事だと思う。
日本に留学に来た日系3世の若いヒロインの目を通して、現代に生きる日本人のアイデンティティを改めて問い直す『I am 日本人』。本作で、製作総指揮・企画・原案・脚本・出演と一人五役をこなした森田健作さんに、作品にこめた思いを大いに語ってもらった
profile
[森田健作]
1949年12月16日生まれ。69年に映画『夕月』でデビュー。その後テレビドラマ『おれは男だ』で人気を博し、歌手としても、「さらば涙と言おう」などヒット曲を連発する。数々の青春映画に出演し、“青春の巨匠”と呼ばれるようになる。その後『砂の器』『八甲田山』など話題作に出演し、演技派としても地位を確立。92年に参議院議員に初当選、98年には衆議院議員に当選し、文部政務次官を務める。現在は俳優業の他に、麗澤大学客員教授、社会人野球クラブチーム千葉“熱血MAKING”の総監督も務める。
『I am 日本人』
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
8月5日(土)より、新宿オスカー、千葉劇場他全国順次ロードショー
オフィシャルサイト:http://iam-nipponjin.com
主演の森本クリスティーナさんの印象はいかがでしたか?
珍しいタイプですよね。顔が良くてスタイルが良くて性格も良いんだから(笑)。長台詞も、全部覚えてるんですよ。僕は、もし英語だったら1行だって覚えられないと思いますけど。途中で風邪ひいても、声が出なくても、泣き言一つ言わなくて。大したもんですよ。本当に、“I am 日本人”という感じですね。彼女のいい芝居を、一人でも多くの人に観てもらいたいです。
森田健作
Q2
本作のテーマの一つに“大和魂”や“武士道”の見直しということがあると思いますが、その点について詳しくお話しいただけますか?
武士道というのは、例えば、「武士は食わねど高楊枝」とか「以心伝心」とか「義を持って和をなす」とか、そういう色んなものが含まれているんですね。そういう精神は、私の父親の世代、つまり明治生まれの世代は非常に持っていたと思うんです。それがやっぱり日本人だったんですね。
ところが日本は敗戦を経験し、アメリカによって精神的にズタズタにされたことも事実なんですね。アメリカのGHQが一番恐れていたのは、武士道の精神なんですよ。武士道というのは、戦う精神ではないんです。人を思いやる精神も武士道なんですよ。そこでアメリカは、「個人」だとか「自由の尊厳」だとか、そういうことを使ったんですね。 その中においても日本は、まず物質的な面においては経済復興しましたね。でも精神的に立ち直るというのはなかなか難しいんですよ。僕は、日本人が戦後60年の間、平和に関しても色んな国に対しても一生懸命やってきたというのも事実だと思うんです。 そこで、僕は「もう一度武士道の精神を振り返ってみませんか?」と問いかけたかったんですね。今、地球規模で何かあったとしても、「いいよ、日本人は来なくても。金だけ出せよ」と言われてしまう。“世界の財布代わり”“いつもニコニコして何も言わないニッポン”、これが日本人のイメージですよ。私も衆議院、参議院と12年あまり国会議員をやらせていただきましたけど、なぜそういう日本になってしまったんだろうと思ってたんです。
そもそもこれは、「これからどうする?日本国よ」っていう映画なんですよ。こういう映画って、損得勘定したら普通は作らないでしょうけど、僕はやっぱり作っていかなきゃなんないと思ったんですね。例えばテレビだったら視聴率、映画だったら観客動員が一番大事だということはわかっていますよ。でも、時代の波に乗ることも大事ですが、ここはというときは時代を創ることも大事だと思うんです。政治家も、自分の票になる仕事ばかりしてたら日本はどうなるんだってことなんですよ。票にならないと思っても、やらなきゃいけないときはあるんです。この映画もそうなんですね。今までの3本の映画はお客さんの入りのことも一応考えましたけど、本作を作ったのは、12年間国会議員をやらせていただいて、なおかつ日本が今抱えている問題に対してメッセージを出していかなきゃならないと思ったからです。
Q.例えばどんなメッセージを託したのですか?
日本人の伝統や歴史の全てを映画で出すことはできません。だから引越しそばのシーンで、日本人が蕎麦を音を立てて食べることに対してクリスティーナ演じるエミーに「これは日本の文化でしょ」って言わせたんですよ。「蕎麦を食べるときに音を立てるのは日本の文化じゃないか。堂々としろよ!」というメッセージを込めたんです。「周りをキョロキョロ見るな。昔の日本人はそうじゃなかった。リーダーシップがあったじゃないか」と。イタリアのスパゲティを音を立てて食べてるのは失礼だと思いますけど、日本古来の蕎麦を食べるときに音を立てちゃいけないなんて、誰に言われる筋合いがあるんだと思って。でも一つの例しか書けないので、それがエンターテイメントと合うかどうかは難しいところですね。
Q3
本作には多くのメッセージが盛り込まれていながら、青春映画としても楽しめたのですが、どういうところに気をつけたのでしょうか?
それは、監督の月野木さんの素晴らしいところだと思うんですけど、僕ははっきりいってものすごく難しかったですよ。自分が何かを作ると、つい自分が前に出ちゃうじゃないですか。人間てそんなもんじゃないですか。僕は映画を作るとき、いかに自分が前に出ないかということに気をつけていますね。特に今回の映画は、自分たちのメッセージをより正確に伝えるためには、自分たちが表に出ないことが大切だと思いました。クリスティーナの世代の若い人たちに、のびのびとこの映画を捉えてもらいたいというかな。
Q.主人公が日系3世の若い女性だという、あのアイディアは森田さんが考えられたのですか?
そうですね。8年前に大まかなストーリーは出来ていたんです。
Q4
本作では森田さんが久々に主題歌を歌われていますね
そう、15年ぶり30枚目のシングルなんです。僕は前から歌おうって言ってたんですよ。でも、「需要と供給のバランスだ」って言われて(笑)。「なんだよそれ、売れないってことじゃないかよ」って(笑)。でも僕は「そんなの待ってたら時間がない」って言ったんです。俺はやるんならやるんだからな。映画でもね、こういうのが作りたいと思ったら作ればいいんですよ。作るって決めたら作れるんだ。だから僕も、「レコード出せたらいいなあ」って言ってるときは絶対出せなかったでしょうね。今回は「出す!」と決めてましたから。今回の主題歌『約束』の作詞・作曲をされている城之内ミサさんとは文部政務次官時代から親交があって、結局映画の音楽全般をお願いしたんです。
Q5
年に1本は映画を撮りたいとおっしゃっていましたが、やはり映画に対しては思い入れがあるのですか?
思い入れというか、メッセージですね。映画っていうのは大体メッセージですからね。映画で自分のメッセージを伝えたいんですね。
森田健作
クライマックスのお祭りのシーンはすごく迫力がありましたが、苦労されたのでは?
エキストラさんが、のべ4000人も集まってくれて。あのシーンは後半に雨が降ったので、中止にするかどうするか迷ったんです。これだけのエキストラさんは、また集められないし。そしたらキャメラマンが、これくらいの雨なら写らないからと。祭りのシーンをせこくやると、テレビになっちゃいますからね。
Q7
本作には、現代の日本が抱えるさまざまな問題が出てきましたが、森田さんが今一番危惧しているのはどんなことでしょうか?
最近の色んな事件を見ていて思うのは、“思いやる心”がなくなりつつあるってことでしょうかね。ノスタルジーで言うんじゃないんですよ。たとえ時代が変わっても、そういうものはあるべきなんじゃないかなっていう気がしますよね。
Q7
お気に入りのシーンやセリフを教えてください
荒川の土手でクリスティーナがおじいちゃんの話をするシーンですね。あのときの彼女は本当に哀愁のある顔をしていましたね。彼女自身の気持ちが入ってるんですよね。 お気に入りのセリフは、やっぱり「俺は日本が大好きだ。日本人に生まれて、ほんとによかったと思ってる」というセリフ。それと、クリスティーナの最後のセリフ「I am American—but I am 日本人!」ですね。あれはもう映画が出来る前から出来ていたセリフなんです。
なにしろ悩んだセリフがいっぱいあるんですよ。荒川の土手のシーンでも、「確かに生活はよくなった。でも俺たちは、日本人の心を置き忘れてきたのかもしれない」というセリフがあるんですけど、最初は「日本人の心を失ってしまった」と書いたんですよ。でも、違うなと。失ってしまったら戻すのは大変なことですよ。日本人はそんなにバカじゃない。ここは“置き忘れてきた”んだと。映画的には“失ってしまった”の方がピンとくるんですけどね。
Q.日本人が“日本人の心”を取り戻すのにどのくらい時間がかかるでしょう?
それには、まずこの映画を観てもらわないと(笑)。でも日本人は非常に頭のいい国民ですよ。僕は、潜在的には皆、日本人の心を持ってると思いますよ。ところが戦後、そのことを大声で言うことを避けてきたと思うんです。日本の外交もそうですよね。
Q7
本作には藤岡弘さんや浅香光代さん、酒井法子さんなど、豪華な顔ぶれの皆さんが出演されていますね
驚きましたね。こういう脚本を渡すと、賛同してくれる人が意外と多いんですね。「どう?」って言ったら、「森田さんらしいよね」って(笑)。いい悪いはわからないですけど。でも、藤岡さんは本当に評価してくれて。「今はわからないけど、きっと後世に評価してくれる人が現れる」って(笑)。こういう映画はやっぱり作らなきゃいけないんだ。押し付けじゃないんですよね。でも、日本人である以上、“日本人の心”があるじゃないですか。それを置き忘れてるから皆取りに帰ろうよっていう、そういう映画ですね。
Q5
本作をどんな人たちに観てもらいたいですか?
友達を誘って観に行ってもらいたいですね。まあ、クリスティーナちゃんも可愛いし、カッコいい男の子も出てますから。それと、今の時代に難しいかもしれないですけど、ぜひ家族で観てもらいたいです。世代が違った人と観てもらうと、観終わったあと世代によって考え方が違うというのがわかったりするだろうし、そこで意見を交わしたりするとまた自分の視野が広がると思うし。そういう映画です。
Q.どの層に一番訴えたいですか?
20代、30代かな。日本を背負って立つ人たちに観て欲しいですね。
編集部の呟き
“日本に喝!”というキャッチコピーがつけられた『I am 日本人』は、現代日本に生きる私たちに“日本人らしさとは?”と改めて問いかける青春映画だ。
資金難から一時は製作を断念したこともあったそうだが、「作ると決めたら作れるんだ!」と熱っぽく語る森田さんに、私も喝を入れられた気分だった。
ともすれば“お説教”のようになってしまいそうなテーマの本作だが、これが映画デビューとなる主演の森本クリスティーナをはじめとする若い出演者たちの爽やかな魅力もあり、エンターテイメントとして大いに楽しめる作品に仕上がっている。〈青春の巨匠〉森田健作が情熱を振り絞った念願の一作、ぜひ劇場に足を運んで観て欲しい。
(取材・文:マリー、写真:昼神幸吉)
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