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AEDの救命率、2倍に 心停止から処置までの時間半減

2009年3月29日9時0分

写真:AED=兵庫県三田市AED=兵庫県三田市

 病院以外の場所で心停止して倒れた人がAED(自動体外式除細動器)で電気ショックを受けるまでの時間が8年間で半分以下になり、救命率は倍の3割になったことが京都大などの解析でわかった。より効果を上げるには一般の人の取り組みがカギという。

 病院外で心停止した人の救命記録をきめ細かく集めている大阪府内の98〜06年のデータを分析。倒れた際に目撃者がいた約9千人分を検討した。このうち、心筋が細かく震えて血液が送り出せなくなる心室細動を起こしたのは1733人。ほぼ全員が救急救命士によりAEDで電気ショックを受けた。

 心室細動では、心停止から電気ショックまでの時間が命や後遺症に大きくかかわる。その時間は98年に平均19分だったのが徐々に短くなり、06年に9分。1カ月後に生存している救命率は15%から31%に、神経障害がほぼ残らず社会復帰する率も6%から16%に上がった。AEDを使うのが1分早ければ、社会復帰率が16%高まる計算という。

 AEDは、03年から医師の指示がなくても救命士が、04年から一般の人も使えるようになった。スポーツ大会などで配備され、倒れた人に使われる機会も増えた。京都大の石見拓・助教は「救急隊の努力でここまで上がったが、これ以上到着時間を縮めるのは難しい。居合わせた一般の人がもっと心肺蘇生やAED使用に取り組んでくれればさらに救命率は高まるはずだ」と話す。(田村建二)

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