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「押し紙」とは?――新聞界の悪しき伝統

毎日1000万部が読まれずに廃棄?

岡田 克敏(2007-04-09 23:54)
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 「押し紙」とは、新聞社が新聞販売店に販売した新聞のうち、購読者に届けられたなかったものを指し、「残紙」とも言う。販売店は、新聞社にその分の代金を払うが、新聞そのものは廃棄される。その数が全体の約2割、毎日1000万部くらいあるとも言われている。もったいない話だ。

 「My News Japan」の記事によると、2002年の毎日新聞の内部資料では、新聞社が販売した総数の395万3644部に対して、読者に購入された数は250万9139部で144万4505部が押し紙ということになるそうだ。率にすると36.5%になる。読売は推定2割、朝日は同2~3割と言う。

 また月刊誌『Will』(06/11)には、毎日新聞販売店主が06年6月に毎日、新聞社に対して調停を申し立てた経緯が載っており、そこには押し紙の具体的な姿が示されている。その販売店が00年1月に新聞社から買い取った1800部のうち購読者に渡されたものは918部、05年1月では1510部の中、733部となっている。それぞれ882部、777部が無駄になったものであり、この例では約半分に相当する。

新聞業界は「悪しき伝統」から脱却できるのだろうか(写真はイメージ) (撮影者:OhmyNews編集部)
 なぜこんな不思議なことが起こるのかと言うと、1つは新聞社の売り上げを増やすためだが、もう1つは公称販売部数に比例する広告料を高く取るためらしい。毎日の場合だと、押し紙をやめると新聞販売の売り上げが36.5%も減り、同時に広告収入も多分、同程度減るというわけだ。

 また、この仕組みは、販売店にかなりの痛みを強いるものであるにもかかわらず維持されているのは、新聞社の販売店に対する優越的な立場のためであろう。すべて販売店の犠牲というわけではなく、押し紙の代わりに販売奨励金などの名目で販売店に埋め合わせをしていることが多いそうだ。また、販売数を多く見せることによって、チラシの手数料の増加につながるという販売店の利点もあるようだ。

 これらが事実だとすると、毎日1000万部がそのまま廃棄されるのは、資源の大きな浪費である。また、その費用は結局、読者の負担になっているのだ。新聞各社が押し紙をやめれば、新聞の価格はその分下げられるはずである。ほかの産業でこんな無駄なことをやっていれば淘汰(とうた)されてしまうだろう。そうならないのはこの業界が寡占体制で、再販制度(再販売価格維持制度)で守られているからである。新聞の再販を見直すという05年の公正取引委員会(公取)の方針表明は、新聞側の反対で押し切られたのだろうか。

 3つの点を指摘したい。1つ目は、新聞社のやり方は、販売店に対して優越的地位の乱用行為にあたるのではないかという疑問。2番目は、広告の料金の根拠となる公称販売部数と実売部数の乖離(かいり)が大きいと、広告料金をだまし取ることになるのではないかという点。3番目は資源の無駄遣いである。

 1番目、2番目は公取が関与すべきことである。再販制度の問題をも含めて、検討してほしいと思う。大量廃棄という国民経済上の無駄をなくすためにも、公取に期待したいところである。

 日ごろ、企業や政府機関に厳しいことを言っている新聞社ならば、そろそろ自らの身辺をきれいにすべきではないだろうか。1000万部を無駄にしながら、環境問題でえらそうに言うのは二枚舌というものだ。

 この問題は新聞が決して報じないために、一般に知られることは少なかった。ネットメディアが認知される良い機会である。

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