<湯けむり名人の温泉!とっておき> 「家で車いすの方をお風呂に入れるというのは、恐らく『大変なひと仕事』。でも、もし開放的な露天風呂で、介護するご家族やお友達も一緒に温泉でくつろげるなら、それは『愉快なこと』に変わるかもしれない」
こう話すのは水光園の若主人、江川正之さん。温泉経営者としては本当にすてきなひらめきだが、実行に移すのは難しい。まず施設のバリアフリー化などコストの問題。身近にお手本がないだけに、実施する上でのさまざまな懸念もあるだろう。ましてやここは民間経営の、風呂代がたった420円の温泉銭湯である。
だが、2006年の全館リニューアルを機に、車いすでも入れる施設づくりを気負わずやってのけた。使用する露天風呂は2カ所あるうちの1カ所で、円い浴槽を囲む一周30歩ほどの歩行浴槽。普段なら運動不足の解消にもってこいのこの風呂は、スロープ状で中央に進むほど深くなり、専用の車いすで入るとちょうどいいあんばいになる。
温泉そのものも申し分ない。琥珀(こはく)色のなめらかな湯はかけ流し。泉質はアルカリ性単純泉で、俗に言う植物性モール温泉だ。
車いすで利用するには、男性二人以上、女性三人以上の同性の同伴者がいて、自身の責任において安全を確認しながら、というのが条件。費用は通常の入浴料だけで、一切の追加料金などもかからない。
「毎日のように来てくださる車いすの常連さんもできて。お風呂での幸せそうな姿に、思わず涙が出ます」と心優しい若主人。
当浴場はこれに限らず、全体が機能面で優れている。内湯には源泉風呂、電気風呂、漢方エキスの蒸気を満たした足湯併設の蒸し風呂、深さが120センチある立ちジェットバス、遠赤外線サウナに泡冷水風呂と個性豊かな浴槽が勢ぞろいだ。気ままにひと巡りするだけで、新陳代謝が活発になること、うけあいである。
屋外のもう一方の露天風呂は、背中にジェットがあたる寝湯だ。湯に体を預けて空を見上げると、自然庭園の大きなハルニレの枝に、アオサギの巣がいくつも。新緑のころにはアオサギたちが帰り、湯客の目を楽しませてくれるそうだ。
(小野寺淳子・旅行ジャーナリスト)
(2009/03/08 日曜ナビ)
※単純泉
住所 |
帯広市東10南5 |
電話番号 |
0155・23・4700 |
露天風呂 |
あり |
日帰り入浴営業時間 |
午前11時−午後11時、元日以外無休 |
宿泊料・日帰り入浴料 |
宿泊はなし 日帰り入浴=大人420円、小学生140円、幼児70円 |
アクセス |
JR帯広駅前ターミナルから十勝バス「北循環線」か「幕別行き」か「陸別行き」で13分、「東10条」下車
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