【ワシントン=有元隆志】北朝鮮の長距離弾道ミサイルの発射を控え、3月1日から15人のイラン人代表団が北朝鮮に滞在していることが28日までに分かった。朝鮮半島情勢に詳しい情報筋が明らかにした。北朝鮮政府の招待によるもので、一行は4月4日から8日の間に予定されている発射に向けて、準備作業に参加するとともに、発射も視察するとみられる。弾道ミサイル開発での、北朝鮮とイランの密接な協力関係を示すものといえそうだ。
訪朝しているのは、イランのミサイル、衛星開発に携わっているシャヒード・ヘンマット・インダストリアル・グループ(SHIG)社の幹部ら。SHIGの技術者らは2006年7月の「テポドン2号」発射の際にも、イラン革命防衛隊のミサイル専門家らとともに北朝鮮を訪れ、ミサイル発射を視察した。
情報筋によると、一行はアフマディネジャド大統領から、金正日総書記にあてた親書を届けた。親書では、両国の衛星打ち上げでの協力関係の意義を強調するとともに、金総書記の病気が治り、全快を願うと記されているという。
北朝鮮とイランは、06年7月に失敗に終わった「テポドン2号」の発射時や、今年2月のイランの衛星打ち上げのデータを共有しており、同筋は「それらのデータを今回の打ち上げにも活用している」と指摘する。
SHIGはイランの中距離弾道ミサイル「シャハブ3」の開発などを担当し、北朝鮮とのミサイル協力にも深く関与してきた。米政府はSHIGが大量破壊兵器拡散に関与しているとして、たびたび制裁措置を講じている。
北朝鮮は2月のイランの衛星打ち上げに際し、ミサイル技術者らを現地に派遣し、協力した。
イランは、北朝鮮の衛星打ち上げ、開発・製造に関する協力を否定している。
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