中古の携帯電話端末の使用を通信事業者が規制するのは、やむをえないことなのか−。ソフトバンクモバイル(SBM)が不正流通する携帯電話端末の通話規制を行っている背景には、ローン未払いの端末が増えていることに加え、振り込め詐欺に悪用される携帯電話の約7割が同社のものであることに対する危機感がある。
SBMのシェアが昨年6月時点で18・4%であり、悪用された携帯電話に占める割合は突出している。「SBMは他社に比べて契約時の身許確認が甘いほか、『頭金0円』でのローン販売を他社に先駆けて導入したことが一因」と指摘する業界関係者もいる。
携帯電話の販売をめぐっては、従来、回線の新規契約時に通信会社が代理店に支払う販売奨励金によって、端末価格が実質0円や1円にまで引き下げられてきた。総務省が平成19年7月、通信料と販売価格の分離を業界に要請し、端末の店頭価格が約2万円前後上昇。消費者に割高感が広がり、中古市場が急拡大したのもこの時期という。
SBMはいち早く割賦販売方式の「新スーパーボーナス」を導入して消費者のニーズをつかみ、昨年は契約者数の純増数で年間首位になった。一方で、契約後に一度も通話料や代金が支払われず、契約者と連絡も取れないケースも急増している。
SBMでは、発売から間もない機種が中古市場に出回るのは、不正取得端末の割合が多いとして、ネットオークション各社に、新機種の出品自粛を要請。グループ会社、ソフトバンクBBが運営する「ヤフーオークション」は、昨年3月、SBMの携帯電話に限り、発売後半年未満の機種の出品を禁止。今月からは禁止期間を発売後1年に延長している。
消費者問題に詳しい京都弁護士会の浅岡美恵弁護士の話「ローン販売が行われている以上、中古販売業者は端末の買い取り時に、返済が完了しているのか確認する義務がある。ソフトバンクなど通信事業者側も協力し、中古業者が買い取る時点でローンを精算して、中古端末の購入者にツケを回さない仕組みを構築すべきだろう」
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