官民が手を結ぶ日本の宇宙産業(下)
経費削減のほとんどは、ロケットの製造に伴う検査費用を抑えることによるものだ。三菱重工業はエンジンから胴体の製造に至る主要な部品を一貫工程で製造しているため、自ら標準化を行うことが可能だ。これは検査のための費用を抑えることにもつながる。これらの強みはロシア、欧州、米国など主要な宇宙開発国では実現が難しい部分でもある。
韓国航空宇宙研究院の崔海震(チェ・ヘジン)博士は、「これまでの宇宙開発大国でも、米国のロッキード・マーティンやボーイング、フランスのアリアンなどロケットの製造を行う企業はあったが、主な部品は外部で製造し、それらを組み立てるというやり方を採用してきた。ロケットの一貫製造は三菱重工業独自の強みだ」と述べた。
三菱重工業は民間企業らしく活発なマーケティングを展開し、韓国を初の海外顧客とした。2011年に打ち上げ予定の地球観測衛星「アリラン3号」の打ち上げ費用として、日本はロシアよりも20%ほど低価格を提示したという。
◆収益と安保を同時に実現する日本
日本は宇宙を「人類の夢を実現する平和空間」と見なしている。これは三菱重工業もJAXAも同じだ。しかし本来、外交や安全保障と分けて考えることのできない宇宙産業の性質からして、これが言葉通りに受け取られることはない。
宇宙産業に対する日本政府の軍事・外交・安保の立場は、昨年5月に通過した「宇宙開発基本法」を見れば分かる。宇宙開発戦略本部という別の組織を設け、首相が本部長、官房長官が副本部長を務める。また「安全保障に貢献する宇宙開発の推進」という文言も宇宙開発基本法に含まれており、宇宙開発を通じた軍事活動も公式に認めている。
これらの背景から、民間企業の三菱グループと日本政府を代表するJAXAは、それぞれが絶妙な役割分担を行っている。JAXAが技術開発を行うことで流出のリスクを最小限にとどめ、三菱グループなどの民間企業は製造を担当し、市場での競争力を高めるという戦略だ。これには民間企業による研究開発費の負担を抑える効果もある。技術情報がすでに公開されているような部品は、三菱グループの関連企業などが担当する。
種子島・東京=チョ・ホジン記者
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