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官民が手を結ぶ日本の宇宙産業(上)

今年1月、気象衛星「いぶき」の打ち上げに成功

三菱重工業、ロケット開発の一貫工程で競争力アップ

政府が開発を担当、技術流出の可能性を最小限に

 1月23日午後12時54分。済州島から南東に500キロほど離れた鹿児島県の種子島宇宙センターから、気象観測衛星「いぶき」を乗せたH2Aロケットが打ち上げられた。その瞬間、日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)の関係者よりも大きな歓声を上げた人たちがいた。H2Aロケットを製造した三菱グループのエンジニアたちだ。

 日本は1998年から2003年までに3回も宇宙ロケットの打ち上げに失敗し、一時は宇宙産業全体が崩壊するほどの危機に追いやられた。しかし昨年は月探査衛星「かぐや」の打ち上げに成功し、この日は気象衛星「いぶき」の打ち上げにも成功した。この結果、日本は宇宙開発大国としての立場を確かなものにした。とりわけこの成功を実現させたのは、政府ではなく民間企業の三菱重工業だった。「かぐや」も「いぶき」も、どちらも三菱重工業が製造したロケットに乗せて打ち上げられた。日本は米国の宇宙産業が足踏みを続ける間に、独自の経費削減努力で新たな宇宙産業大国として浮上し始めている。

◆民間の手に渡った宇宙産業

 宇宙産業は国防・気象・通信など、国の基盤となる重要分野で中心的な役割を果たすものだ。しかし開発の初期段階では収益を上げることができないため、政府による財政支援が必ず必要だ。日本もやはり政府機関であるJAXAがロケット、宇宙センター、衛星などのあらゆる分野を担当した。しかし最近、宇宙産業の主導権は民間企業へと移りつつある。

 JAXAの立川敬二理事長(69)は、「宇宙産業発展のため、2007年から三菱や日立などに宇宙センター以外のロケットや人工衛星などの製造を任せている。米国など先進国の宇宙産業も、軌道に乗ると同時に民間へ移されたのと同じような手順を踏んでいる」と述べた。

 宇宙産業を民間に移す目的は、市場での競争力を高めることにある。三菱重工業でプロジェクトを統括する浅田正一郎氏は「国よりも民間企業の方が、いろいろ試すことができる自由がある。そのため事業の効率を高めるには適している」と述べた。

 実際に民間が主導権を握るようになってから、日本の宇宙産業の競争力は高まりを見せ始めている。現在、三菱重工業で製造している主力ロケットH2Aの打ち上げに掛かる費用は、およそ7000万ドル(約64億円)とされている。これは国際的に見ても非常に低価格で、ロシアが製造する同じクラスのロケット「プロトン」に比べると最大で30%も安い。

種子島・東京=チョ・ホジン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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