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薬害C型肝炎 「患者の会」設立へ仲間募る

2009年03月28日

 薬害によるとみられるC型肝炎と闘う鳥取県西部の患者の間で、同じ困難を抱える人同士が連携し、救済に向けて一緒に前進しようとの動きが生まれつつある。「患者の会」づくりを目指す女性が仲間を募るために実名を明らかにし、同じ立場の患者や家族に連絡を呼び掛けている。

薬害C型肝炎鳥取弁護団が被害者救済へ向けて開いた相談会。患者同士で連携を目指す取り組みも始まりつつある=2008年6月29日、米子市の国際ファミリープラザ

 連絡を呼び掛けているのは大山町、飲食業、西村眞智子さん(56)。六年前、肝炎を発症していることが分かり、闘病している。

 発祥の原因は三十二年前の第一子出産の大量出血時に、ウイルスが混入した血液製剤「フィブリノゲン」の投与を受けたものとみられ、薬害肝炎被害者救済特別措置法の救済を求めたいと訴訟の提起を目指している。

三重苦、四重苦

 連絡の呼び掛けを決心したのは「自分と同じように苦しんでいる人が多い」と実感したからだ。「泣き寝入りせずに一緒に頑張りましょう」という同じ立場の知人女性の声も背中を押した。

 西村さんらの「苦しみ」は三重苦、四重苦だ。肝炎の症状や治療薬の強い副作用、「治らないかもしれない」という不安、高額の治療費の負担…。「それもこれも薬害のためとしか考えられない。理不尽です」。

 理不尽をただそうと提訴を目指すが、特定製剤の投与を受けた事実などを裁判で立証する必要がある。西村さんの場合、三十二年前のカルテは残っておらず、他の方法による証明に苦労している。

 「身体的・精神的苦痛、治療費の負担を抱えている上に、なお投与の証明が必要といわれる。『なぜ?』と毎日のように思います。とても納得できません」と訴える。

「力になりたい」

 鳥取県内の被害者救済の歩みは、被害者への給付金の支給を定めた同特措法施行後、昨年六月、県弁護士会の有志が薬害C型肝炎鳥取弁護団を結成して相談会を実施。鳥取地裁に提訴した患者三人のうち一人と国との間に今月、和解が成立するところまで来た。

 しかし、西村さんを含めて特定製剤の投与証明の壁にぶつかり、提訴に至らない患者も少なくない。患者の間で「証明には医療機関の協力が不可欠。協力するよう国も医療機関に強く働き掛けてほしい」との声が強い。

 西村さんは同じ立場の数人と語らい、「仲間を募り、患者の会をつくろう」と考えている。提訴や治療費の負担軽減へ向けた情報交換、要望活動などを想定している。

 投与の証明に試行錯誤の経験をしてきた西村さんは「わたし以上に途方に暮れている患者もおられる。知っている限りのことを話し、少しでも力になりたい」と、連絡を呼び掛けている。連絡先は携帯電話090(1188)2099。



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