政府・与党からは24日、公設秘書が政治資金規正法違反で起訴された民主党の小沢一郎代表が続投を表明したことで「攻撃材料を手に入れた」(自民党閣僚経験者)と反転攻勢を期待する声があがっている。ただ、同日夜の自民党議員のパーティーのあいさつで、小沢氏の問題にまったく触れない自民党幹部も目立ち、西松建設事件の同党への飛び火を警戒する様子もうかがえた。
「ありがたいことです」
首相に近い閣僚は24日夜、小沢氏が続投を表明したとの一報を聞き、思わずこうつぶやいた。
次期衆院選で民主党と対決する与党の本音は「小沢代表の続投歓迎」だ。民主党が「政治とカネ」の問題を引きずって「支持率が下がっていく」(公明党幹部)とみているからだ。
自民党の細田博之幹事長は同日夜、都内で記者団に、小沢氏の続投について「到底理解できない。責任を感じておられないということだ」と述べた。さらに「虚偽献金だとはっきりしている。政治資金規正法違反を大したことがないと思っているなら大間違いだ。許し難い違反だ」と小沢氏を非難した。公明党の北側一雄幹事長も同日夜、小沢氏の続投会見について「起訴になった事実への説明がまったくなかった。虚偽記載は規正法で一番重い犯罪だ」と指摘した。
「きょうはまさに『イチロー』の日だった。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)はイチローの活躍で見事世界一。一方、国内は他党のことで差し障りがある。政府・与党は口をつぐみ、責任を果たす。そういう緊張感が第一だ」
自民党の古賀誠選対委員長も同日夜、都内のホテルで開かれた同党議員の政治資金パーティーでこうあいさつし、小沢氏を当てこすった。
麻生太郎首相は同日夜、首相官邸で記者団に「個別の案件についてはコメントしない」としたうえで「政治資金の問題で政治不信が広まるのを恐れる」と、厳しい表情で語った。
与党は、小沢氏への批判がほとんど出ない民主党の体質にも言及しイメージダウンをはかる構えだ。
自民党は29日投開票の千葉県知事選で、民主党が推す候補を破ることで、与野党攻防の風向きが変わることを期待している。
ただ、小沢氏の続投が与党にとって、次期衆院選を優勢に戦えるほどの追い風になるかは不透明だ。与党には「マスコミは『検察の勇み足だった』と報じるのではないか」(自民党幹部)との警戒感もある。
24日夜の塩谷立(しおのやりゅう)文部科学相の政治資金パーティーでは、森喜朗、安倍晋三の両元首相、細田氏、町村信孝前官房長官は、小沢氏の問題に触れることはなかった。西松建設が出所とみられる資金はパーティー券購入や献金などで二階俊博経済産業相や尾身幸次元財務相、森氏ら自民党側にも流れており、同党幹部には、事件の渦に巻き込まれることへの恐れもあるようだ。
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