旧浦和市(現さいたま市)立中学在学中に、同級生のいじめにより心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとして、新座市の男性と男性の両親がさいたま市に、約1億4755万円の損害賠償を求めた訴訟で、さいたま地裁(佐藤公美裁判長)は、「PTSDとは認められない」として、請求を棄却した。
判決によると、男性は中学2年だった91年、同級生から布製のヌンチャクで右目を殴られてけがをするいじめを受け、中学3年ごろから自宅に引きこもるようになった。しかし、判決は「原告がPTSD発症の主な原因とする布製ヌンチャクによる傷害は、暴行や傷害の程度が著しいものとはいえず、診断基準を満たさない」として原告の主張を認めなかった。
原告側は、執拗(しつよう)ないじめで、継続的なトラウマ体験が原因とされる「複雑性PTSD」を発症したとも主張したが、判決は「臨床診断で広く取り入れられている概念でない」と退けた。【飼手勇介】
毎日新聞 2009年3月27日 地方版