「いじめを受けた子は親に何かシグナルを出している」。ある県警幹部が言った。自分の長女(26)のことだった。
陸上部に所属していた中学時代。「気分が悪く保健室に行った」と言う日が増えた。心配になって聞くと、泣き出した。何でも、駅伝選手に選ばれてから、部員に無視されるようになったという。父に打ち明けて落ち着いたのか、長女は「理由を聞いてみる」と言い出した。後日、報告があった。「学業成績が優秀だから選手になれた」とうわさが流れていたのだ。「うわさを否定したら、謝ってくれた」とも。笑顔が戻っていた。
長女は卒業時「気付いてくれてありがとう」とお礼の手紙を渡した。やはり、シグナルを感じ取れる親がいれば、いじめの芽を摘むことができるのだ。
〔福岡都市圏版〕
毎日新聞 2009年3月27日 地方版