二十八日から高津宮(大阪市中央区)で恒例の「桜まつり」(四月十日まで)が始まる。例年多くの人が訪れ、境内は花見客でにぎわいを見せる。しかし近年は、花見客が持ち帰ることになっているごみを放置したままにするなど、マナーの悪化が深刻化。境内に隣接する高津公園では、禁じられているはずのバーベキューをする人も目立つ。同宮の小谷真功宮司は「マナーは年々悪化するばかり。今年の状況によっては、来年の桜まつりをやめることも想定している」と話している。
火気の使用禁止や、ごみの持ち帰りを呼び掛けるチラシを配る小谷宮司(左)=27日午後、大阪市中央区 |
『高津宮境内・公園内は火気厳禁です。バーベキューなどはご遠慮ください。美しい桜や樹木を守るため、御協力をお願いいたします』−。同宮のホームページを開くと、二十八日から始まる桜まつりを控え、マナーの順守を求める言葉が並ぶ。
同宮の桜まつりは、戦後の空襲の焼け野原となった地域に明るい話題をと、桜が植えられたことに始まる。境内や隣接する同公園にぼんぼりが立てられ、ライトアップされた約百本のソメイヨシノが無料で公開される。
しかし、十年ほど前から同公園でバーベキューをする人が増え、食べ残しの食材はもちろん、使い終わったカセットコンロなどを放置していくケースも。バーベキューの煙による、サクラの寿命への影響も懸念される。
同公園を管理する市の真田山公園事務所によると、昨年の桜まつりでは、約二週間の期間中で約六十トンのごみが回収された。ここ数年、放置されるごみの状況はひどくなっているという。
同事務所では公園内の七カ所にごみの後始末を呼び掛ける看板を設置。見回りに力を入れる。それでも「行政でできる範囲では対応するが…。最後は利用者のモラルに訴えるしかない」と困惑気味だ。
咲き始めた桜の下では早くも花見客の姿もあり、公園内にはごみ袋が放置されている例も。同宮では深刻なマナーの悪化に、期間中は警備員を雇い巡回してもらうことに。手作りのチラシを公園の利用者に渡し、マナーアップを呼び掛けている。
ただすべての花見客が“不心得者”というわけではないのも事実。この日、顧問を務める市立南高のクラブの生徒らと花見に訪れていた一色和子さん(57)は、「自分の食べたものの後始末ぐらいできないのは情けない」と、同じ花見客としてマナーの悪さを嘆く。
小谷宮司は「ごみが置かれると、そこにまたごみという悪循環になる。伝統のある行事を続けていくにも、一人一人のマナーが良くなるように」と話す。
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