【ヨハネスブルク高尾具成】アフリカ南東部のインド洋に浮かぶ島マダガスカルで、首都アンタナナリボのラジョエリナ市長(34)が呼びかけたラベロマナナ大統領(59)の退陣を求める野党支持者らの抗議行動は16日、軍が装甲車などで大統領府に突入した。
AP通信によると、爆発音が聞こえるなど緊迫した状況が続いたが、ラベロマナナ氏は約10キロ離れた大統領宮殿に逃げていた。同日開かれた野党支持者らの集会で、ラジョエリナ氏は治安部隊に、大統領を国家反逆罪の疑いで逮捕するよう呼びかけた。
発端は昨年12月、元DJのラジョエリナ氏運営の放送局がラチラカ前大統領のインタビューを放映し、それを理由に政府が放送局を閉鎖。再三の営業再開要請も認められず1月26日、野党支持者が国営放送局を占拠するなど暴徒化した。
同月末、ラジョエリナ氏は自らを「国家指導者」と宣言。大統領の即時辞任と暫定政権発足、2年以内の大統領選実施を訴えた。大統領は2月初めにラジョエリナ氏の免職処分を決定したが、混乱は収まらず、死者は100人以上に上っている。軍内部にも野党派が支持を広げ、大統領の命令系統は機能していない。
大統領は15日、国民投票実施を提案したが、ラジョエリナ氏は拒否し、ついに軍の大統領府突入に発展した。
マダガスカルは世界第4の大きさの島で、独自の進化を遂げた固有種の動物が多く観光地として人気がある。
毎日新聞 2009年3月17日 11時34分(最終更新 3月17日 12時17分)