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どうなる移転問題 築地市場最大の組合「東卸」理事長に聞く

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2009年3月16日


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 先月行われた築地市場最大の団体「東京魚市場卸協同組合」の理事長選挙は、豊洲地区への移転の賛否をめぐって混迷しました。移転反対の声が根強い中、続投が決まった移転容認派の伊藤宏之理事長に今後の展望を聞きました。

 「東京魚市場卸協同組合」は築地市場のおよそ770の水産仲卸業者でつくる場内最大の組合です。先月行われた理事長選挙は、市場の移転問題で意見の分かれる2人が立候補したことからその結果が注目されていました。4回の投票はいずれも同数となり、5回目の投票で移転を容認する現職の伊藤理事長が移転反対を訴える候補者を破って選ばれました。伊藤新理事長は今回の理事長選について「今回みたいなケースは初めて。いささか疲れました。それだけ新市場の問題は非常に関心が高かった」と振り返ります。
 築地市場は老朽化のため江東区豊洲地区に移転し2014年の開場が予定されていますが、予定地からはベンゼンなど高濃度の有害物質が検出されています。「食の安全が守れない」という反対の声に対し、伊藤理事長は都が設置した専門家の会議による汚染対策の提言を信頼すべきと話します。伊藤理事長は「(都の汚染対策は)ある程度信頼すべきでしょう。ただ、それについて責任ある安全宣言を都に求めたいし、土壌処理が原因で事故が起こったときは都で補償してもらいたい」と述べました。
 また、移転の理由については「皆さんの期待に応えられるだけの余力・面積がないということ。荷主にしても直接競り場に荷物が搬入できない構造になっている」と語り、市場の老朽化や狭さを挙げて必要性を強調しました。
 伊藤理事長は組合員に移転の賛否を問う意向調査を行う考えです。しかし、その前に都が移転に関する組合員の不安を取り除く努力をすべきと訴えます。伊藤理事長は「不安解消に努めていく。そのためには東京都も十分に協力してもらわないとならない。現在地再整備の可能性がないことを明確にし、しかも分かりやすく話してもらうことがひとつでしょう。東京都が面談をして、行くのか行かないのか、行くのに反対の理由はなんですかと、きちっと1人ずつ聞いて、それで調査をしてもらうのが本当だろう」と述べました。
 伊藤理事長の任期は2年――。今後は東京都から移転するにあたっての支援策を引き出し、組合が一枚岩となって新市場に移ることを目指すとしています。