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【社会】ネットカフェ犯罪禍 6割が本人確認せず2009年3月28日 夕刊 東京都内にあるインターネットカフェ五百七十五店のうち約六割に当たる三百四十一店が、身分証などで本人確認をしていないことが警視庁ハイテク犯罪対策総合センターの調べで分かった。ネットカフェの匿名性を悪用した利用客による事件が相次いでおり、同庁や業界団体は本人確認の徹底を呼び掛けているが、法律上の義務はなく店側の判断に委ねているのが実情だ。 (社会部・安藤恭子) 先月、勤務先のコンピューターから十八万人分の個人情報を不正入手したとして、警視庁に逮捕された二十代の男は、新宿区のネットカフェにパソコンを持ち込んで不正アクセスしていた。 男は、発信元から身元が割れないよう、ネットカフェを使ったと供述。しかし、店側が本人確認をしていなかったうえ、通信記録も一週間で消去していたため「裏付けに手間取った」と捜査幹部。 警視庁によると、今年一−二月、都内のネットカフェで起きた事件は百七十一件。八割が置引などの窃盗だったが、喫煙や家出などで補導された少年は、昨年一年間で四十一人に上っている。 捜査幹部は「ネットカフェは振り込め詐欺のアジトや、犯罪予告の書き込みの現場にもなっている。防犯対策をしていない店ほど、犯罪の温床になる恐れがある」と警戒する。 ネットカフェの業界団体「日本複合カフェ協会」(JCCA、千代田区)は昨年九月、加盟店に対して、顧客を会員制にして本人確認をするよう、ガイドラインに明記した。防犯カメラの設置や店内巡回の徹底、客席が見渡せる店の構造にすることなどは既に盛り込まれている。 だが、都内のJCCA加盟店は昨年四月現在で、全体の半数以下の二百店余り。本人確認が進まない現状について、JCCAの若松修顧問は、客が離れることへの危惧(きぐ)が業界内にある、と分析。「逆に、本人確認をせず、個室内を外から見えにくくするなど、いかがわしさを売りにする店もあり、防犯への対応が二分化してきている」と指摘する。 警視庁は今月、各警察署に通達を出し、全店舗を順次、防犯指導することを決めた。本人確認に加え、利用客の入退店と通信記録の保存を求め、犯罪抑止につなげる方針だ。
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