政府の中期目標検討委員会(座長、福井俊彦・前日銀総裁)は27日、2020年までの温室効果ガスの削減目標(中期目標)を決めるための六つの選択肢のうち、5案を固めた。削減率は90年比で「4%増」~「25%減」。最も厳しい25%減では、実質国内総生産(GDP)が20年までの累積で最大6%押し下げられ、失業率も最大年平均1・9%の増加要因になるとした。同日午後の会議で検討する。
目標案は現在の省エネ努力を続けた場合が90年比4%増。最先端の省エネ機器に入れ替えが進んだ場合は7%減で、省エネ機器導入の義務づけなど更に対策を強化した場合は15~16%減となる。
検討委は4%増の案と比較して、更に削減努力をした場合の経済に与える影響を分析。7%削減案では、GDPの押し下げ効果は累積で最大0・6%、失業率の増加は最大年平均0・3%程度にとどまるが、25%減ではGDPで最大6%、失業率で同1・9%の影響が出る。また、20年の1世帯当たりの可処分所得は、「7%減」で4万~15万円押し下げられ、「25%減」では22万~77万円押し下げられるとした。
試算は現在の経済危機の影響を考慮しておらず、GDPが年1・3%ずつ増加する成長モデルを前提としている。
検討委はこの日までに結論が出なかった残る1案を4月上旬までに固め、6案を確定させる。6月までに政府が中期目標を決定する。【平地修、大場あい】
毎日新聞 2009年3月27日 東京夕刊