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IAEA:次期事務局長選、一騎打ち 唯一の被爆国、懸命アピール

 国際原子力機関(IAEA)の次期事務局長を決める選挙が26、27の両日、ウィーンでの特別理事会(35カ国)で行われる。日本の天野之弥(ゆきや)ウィーン国際機関代表部大使(61)と南アフリカのアブドゥル・ミンティIAEA担当大使(69)の一騎打ちだが、天野氏の優勢は揺るがない状況だ。当選に必要な有効票数の3分の2を得られるかどうかが焦点で、日本政府は票固めを続けている。【川上克己、ウィーン中尾卓司】

 選挙戦で日本は「唯一の被爆国」として原子力を平和利用してきた実績を強調した。天野氏も4日のIAEA理事会で立候補の所信表明演説を行い、「広島・長崎の経験を持つ国から来た。核兵器の拡散に断固立ち向かう」と核不拡散の「決意」を訴えた。

 日本が事務局長選に力を入れるのは「『顔の見える日本外交』につながるポスト」(外務省幹部)と見るためだ。北朝鮮やイランの核問題への世界の関心は高く、抑止力としてIAEAの役割が重みを増している。

 72年に外務省に入省した天野氏は軍縮不拡散・科学部長など原子力の平和利用のポストを歴任。麻生太郎首相と握手する天野氏の写真をあしらった英文パンフレットを数千部関係者に配布してきた。

 日本が執心するのには別の理由も。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の松浦晃一郎事務局長は今秋退任予定で、知名度の高い国際機関のトップで活躍する日本人は国際エネルギー機関(IEA)の田中伸男事務局長だけになる危機感がある。

 南アのミンティ氏は「途上国にこそ原子力が必要だ」とアピール。日本の外務省は「3分の2の獲得は容易ではない」(幹部)と話す。また、過去2代の事務局長選と同様、相手候補も3分の2を得られず振り出しに戻り、後から名乗りをあげた別候補にさらわれる事態を警戒している。

毎日新聞 2009年3月22日 東京朝刊

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