社会
高速道路料金値下げ「対抗策」に躍起 公共交通機関
高速道路料金の大幅値下げに、航空業界も危機感を募らせている=神戸空港(撮影・峰大二郎) |
十三日に詳細な内容が発表された高速道路料金の値下げ。フェリーや鉄道、バス、航空など公共交通機関には乗客の減少など影響を懸念する声が広がっている。今も残る原油高騰の影響に加え、「百年に一度」の経済不況。さらに追い打ちをかけるような高速道路料金の大幅引き下げに、各業界は「トリプルショックだ」と悲鳴を上げ、対策に追われている。
■不況下、乗客減少を懸念 運賃引き下げ、減便は不可避
「高速道路並みの支援を。フェリー、旅客船は海の国道」。六日、全日本海員組合約千人が国会議事堂前から日比谷公園までデモ行進した。参加した明石淡路フェリー(明石市、愛称・たこフェリー)の古川博司船長(48)は「国はCO2削減を掲げて公共交通機関の利用を進めてきたはず。自動車だけを優先する政策は不平等だ」と憤る。
神戸市内では二十六日に同組合関西地方支部がデモ行進を予定する。県内のフェリー業者など二十八社でつくる神戸旅客船協会も二月、入港料などの無料化や減便時の船の買い上げ費用補てんなどを求める要望書を神戸市に提出した。
業界は「乗船客が半数以下に落ち込む恐れがある」など危機感を募らせており、減便を検討する社も。大阪南港-大分港を運航するダイヤモンドフェリー(大分県)は経費削減のため、六月から神戸、今治(愛媛県)への寄港を取りやめる。
神戸-高松間などを結ぶジャンボフェリーの山神正義社長も「運賃の値下げは避けられそうにない。いずれは減便も考えざるを得ない」と嘆く。
明石淡路フェリーは明石市の補助を受け、四月から新たにクルーズ事業を展開。さらに停泊船でのイベントなどで集客を図るが、大麻一秀社長(56)も「試算では売り上げは四割減る。少しでも乗客を増やす努力をしていきたい」と話す。
◇
不況による利用減少に悩む鉄道業界も対策に躍起だ。
JR西日本は、高速道路料金の大幅値下げは「新幹線や在来線の特急に影響がある」とし、対抗策として山陽新幹線「こだま」の指定席を格安で利用できる往復切符を発売。通常より最大約45%安く、二千円でレンタカーを二十四時間使える特典も付けた。
高速バスを運行する西日本JRバスも「東京など長距離路線はともかく、名古屋、岡山、四国など比較的近距離ならマイカーで行こうという人は出てくるのでは」と影響を懸念する。
航空業界からは「旅行自体が『安・近・短』にならないか」(航空会社幹部)と警戒する声も。全日本空輸は四-六月の搭乗分を対象に、満六十五歳以上なら国内全路線を片道一律九千円で利用できる運賃「シニア空割(そらわり)」を導入。希望する便に空席があれば利用できる。同社は「孫の顔を見に行くのに使ってほしい」と呼び掛けている。(前川茂之、足立 聡、磯辺康子)
(3/14 09:37)
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