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広島電鉄、全契約社員を正規雇用 一部社員は賃下げ(2/2ページ)

2009年3月26日8時9分

 佐古正明委員長は「(契約社員としてだけ採用する状況を)放置しておけば、ほとんどの乗務員が低い賃金水準になってしまう。統一によって賃金が下がる正社員の組合員からは厳しい意見も予想されるが、大局的にご理解をいただきたい」と話している。

 全国のバス、鉄道など231労組が加盟する私鉄総連によると、私鉄業界で非正規社員を正社員にして賃金制度を統一するケースは珍しい。私鉄総連は、非正規社員を3年で正社員にすることを運動方針に掲げ、各労組に呼びかけてきた。藤井一也書記長は「契約社員が労組に入っていない会社が多い。各企業の経営体力の問題もあり、進んでいないのが現状だ」と話している。(福家司)

■労働者の意欲向上、会社にも利点

 河西宏祐・早稲田大教授(労働社会学)の話 契約社員を全員正社員化するという例はこれまでの日本の労使関係の歴史の中でもたいへん珍しく、高く評価している。労働条件を向上させると、労働者の意欲や定着率が向上し、優秀な人材も集まるなど会社にとってもメリットがあることを示すいい機会になると思う。

 広島電鉄では、労使双方が一本化に取り組んできた長い歴史がある。このことが全国的にも最先端と言える今回の取り組みが成功した大きな要因となった。

 全国の組合が、正社員の利益を守ることだけにこだわるのをやめ、労働条件の低い者を救うという労働運動の原点に立ち返ることができれば、ほかの会社でも同様の成果が実現できるはずだ。

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