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広島電鉄、全契約社員を正規雇用 一部社員は賃下げ(1/2ページ)

2009年3月26日8時9分

 広島市内などで路面電車や路線バスを運行している広島電鉄(本社・広島市、従業員約1200人)の労働組合「私鉄中国地方労働組合広島電鉄支部」は25日、契約社員を全員正社員化し、賃金も引き上げて正社員と一本化することで会社側と合意したと発表した。組合員の同意を得て09年度の早い時期からの実施を目指す。一部の正社員は賃下げになる。同社のような千人規模の企業でのこうした取り組みは珍しく、雇用形態による労働条件の格差を解消するモデルケースとして注目されそうだ。

 同支部によると、同社は01年以降、バス、電車の運転士や車掌の採用を、1年ごとに更新する契約社員に限っており、現在約150人が在籍している。月額賃金は運転士23万1千円、車掌19万6500円で、何年勤めても昇給はない。また、約1040人いる正社員のうち150人は、契約社員から正社員に登用された「正社員2」という雇用形態で、労働条件は契約社員と同じ。昇給のある正社員と比べると賃金は平均で月額5万円程度低かった。

 新しい制度では、年功と能力を加味して昇給する賃金制度に一本化し、定年も5年延長して65歳とする。一方で、以前から正社員として勤務している300人弱のベテラン社員は賃金が月額5万〜6万円下がるため、調整給を支給しながら10年間かけてゆるやかに減額する。定年延長で収入を得られる期間が長くなるため、労働条件の大幅な切り下げは避けられるという。

 同支部は契約社員も労組員として正式加入しており、06年から契約社員の正社員化と賃金制度の統一を求めて会社側と交渉を始めた。しかし、給与の原資は限られ、賃金の一本化でベテラン正社員の賃金が下がるケースが出てくることから交渉は難航。今回、組合員の収入減が緩和されたことや、会社側も乗務員の勤労意欲が高まり、より安全な運行が確保できるメリットがあることから合意に至った。

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