古き良き、新聞社黄金時代のお話
九六式陸上攻撃機 世界の傑作機 (No.91) 価格:¥ 870(税込) 発売日:2001-11 |
ところで、この九六式というのは、必ずしも軍用ばかりじゃない、民生機としても使われたわけだ。その当時、新聞社は通信手段として飛行機を使っていて、朝日新聞の「神風号」とか、大々的に宣伝していた。その「神風号」に対抗して、九六式を改造した「ニッポン号」というのを作る。
96式陸上攻撃機は、三菱の本庄季郎技師を主務者として設計された、金属製、双発、引込脚の当時としては世界最高水準をいく機体であった。それだけに、海軍は毎日新聞社の計画に簡単には応じなかったが、最終的には海軍次官山本五十六中将の決断によって、これを長距離輸送機に改造することに賛成した。神風号もそうなんだが、こういう飛行機による「冒険」プランというのは、当時の新聞拡販競争において、絶好のアイテムだったわけです。特に神風号は「亜欧連絡記録大飛行」と名付けて、連日紙面で煽っているわけだ。
この飛行機の名前は、毎日新聞の機名募集に応募した百万余通から選ぱれた「ニッポン号」に決まった。そして中尾機長以下6名の乗員は、新造の「ニッポン号」で訓練飛行にはげんだ。
昭和14年8月26日、「ニッポン号」に中尾機長以下6名と毎日新聞航空部長の大原武夫親善使節が乗り込んで羽田(東京)を出発し、千歳空港(北海道)からアメリカのノームに向かって第一歩を踏み出した。この第一歩の北太平洋横断が「ニッポン号」にとっては最大の難関であったが、4、34Okmを15時間48分で飛び切った。その後は、アメリカの各都市、南アメリカの各都市からスぺイン・イタリアを訪問し、カルカッ夕・バンコク・台北を経て、55日目の1O月20日午後1時47分に羽田に無事帰還した。
その実飛行時間は194時間、飛行距離52、860kmにおよんだが、この間に少しの故障もなく、日本製航空機の高い実用性と信頼性を全世界に知らしめた。
神風号についてはこちらのサイトに詳しいんだが、三菱の河野技師が作った複座式戦略偵察機が元になってます。最高速500km/hという純国産機で、もっとも三菱製なんだが、エンジンは中島です。これが、英国皇帝の戴冠式を祝って大飛行するというので、日本中が大騒ぎ。世界新記録を打ち立てて成功すると、
大阪本社前でも、ブラスバンドによる声援歌の演奏があったり、青年団による提灯行列が行われたりしました。という事になったわけだ。そこで、毎日新聞も負けちゃいられない、陸軍にかけあって九六式の裸ボディを入手してニッポン号を作るわけなんだが、当時、既に戦争直前で、インドではプラグコード外されるなどの嫌がらせに会いながらも、世界一周を成し遂げる。
このような光景は、両本社のみならず京都や福岡をはじめ、各地の朝日新聞支社前でも見られました。
中には、玄関先に酒樽を並べ、集まった人たちに振舞い酒をした所さえあります。
また、大阪では5千もある工場が一斉にサイレンを鳴らしたりだとか、東海道を走る寝台列車内では、ボーイが「神風号、ロンドン到着~!」と叫んで、乗客が一斉に万歳三唱をしたりとか、深夜だというのに子供たちの提灯行列が行われたりとか・・・
この日の夜はもう、日本中が『神風号』祝賀の熱狂に浮かれていました。
まだ、民間航空の発達してない時代、民間の飛行機としては、新聞社の飛行機というのが時代をリードしていたわけです。今はそうでもないけどね。それでもおいら、ヨットから駿河湾を悠々と飛ぶ、新聞社のYS-11か何かを見た事あります。まだあんなの持ってるんだね。
で、例によって長すぎる前振りはここまでとして、だ。
話は、この九六式陸攻を設計した本庄さんです。本庄さんの、その後の人生について、今朝の毎日新聞に出ていたんだが、
九六式陸攻の設計者が、第一回鳥人間コンテストで世界記録を作っていたという、まぁ、そなんお話です。45年敗戦。占領下の日本は航空の一切を禁止された。だが、本庄の設計者魂は眠らない。東京本社に移ると、アイデアを生かして自転車を設計する。さらに米軍補給司令部に派遣され、安全装備設計などに力を振るう。
そこで知った米国方式に感心して創さんにこう語ったそうだ。
「チーム作りと情報管理に優れている。優秀な者は皆で褒め、個性を尊重する。マニュアルも共有している。日本には秘密主義、職人主義のようなところがあって、成果が共有の財産にならない」
その後、本庄は防衛大教官として後進の指導をするが、真骨頂は数え切れないほどのグライダー設計だ。77年、76歳の時に滋賀・琵琶湖畔で開催された「第1回鳥人間コンテスト」で、設計したハンググライダーが世界記録を達成した。
90年没。翼を休めず設計者魂を通した人生だった。
今回はタイトルと内容に関連が1%しか合わない。
是もプロの物書きの凄さでしょうか? 何か朝日・毎日 はたまた
ニューヨークタイムスのご臨終へのカウントダウンの話かと早とちりしました。残念。
投稿 yamanote-1 | 2009/03/27 12:32
長い「戦後」の時代が終焉を向かえ、
「戦前」の時代に突入した今日の良き日に、
心温まるエントリーです(涙)
投稿 ウイルス性胃腸園 | 2009/03/27 13:05
ダメリカで18ヶ月間以内に亡くなる新聞社の10紙
byウォールストリート
フィラデルフィア・デイリー・ニュース
ミネアポリス・スター・トリビューン
マイアミ・ヘラルド
デトロイト・ニュース
サンフランシスコ・クロニクル
シカゴ・サンタイムズ
ニューヨーク・デイリー・ニュース
フォートワース・スター・テレグラム
クリーブランド・プレーン・ディーラー
http://kellene23.wordpress.com/
2009/03/09/10-most-endangered-newspapers-in-america/
投稿 FT | 2009/03/27 13:14
九六式陸攻がいかに長大な航続距離を誇っていたといっても
一番大事なのはエンジンの信頼性であって
それがアメリカからのライセンス生産品だったとは・・・・
要するにアメリカの援助があったから世界一周も成し遂げることができたということですね
投稿 aparachia | 2009/03/27 13:53
その当時、おいらの親父は箱根の西武グループで、部品の輸入が途絶えたフォードなんかを修理していたよ。戦争やってて部品がまったく入って来ないので、自分で作っていたそうだ。
投稿 野次馬 | 2009/03/27 14:04
だって、日本が東南アジアと北朝鮮、中国への進出は資源確保だったから。田中角栄の国交樹立活動と
日本の企業の進出の背景はこれだったの。
朝鮮はレアメタル関係、エンジンベアリング
メタルとジュラルミン関係の添加物。
水力発電を作ったのはそういうことなのよ。
東南アジアは石油確保で改質処理の高オクタン値ガソリンしかない、日本はエチル鉛は禁輸措置でダメだったからハイオク仕様のエンジンでレギュラーガスに水メタノール噴射でエンジンオイルの粗悪品で一品物の作りだった。
アメさんはそれがあったから最高の性能だった。
アメさんは規格が決まっていて、あまり技術的に冒険せずに大量生産し品質管理が誰でも作れても良かった。
自動車を沢山作っていた関係ですわ。
昔、確か同じ車三台並べて、全部ばらして部品をごちゃまぜにして組み立てるという競技があったその時勝ったのはGMのキャデラックだけだった。
そのGMがあれですがねぇ
キャデラックはアメリカの自動車メーカーとして初めて、英国の権威あるデュワートロフィーを受賞しました。デュワートロフィーは、その年度に最も画期的な自動車の進歩を成し遂げた自動車メーカーに授与される賞です。デモンストレーション走行したキャデラック車の中から、任意の3台を無差別に抜き取り分解、部品を混ぜ合わせ、簡単な工具(ハンドツール)を使って再組立を行ない、その直後に、500マイルのデモンストレーション走行で、721点に及ぶ標準部品の互換性を証明するという方法で審査が行われました。この受賞を期にキャデラックは、“Standard of the world”をスローガンとして採用しました。
http://www.cadillac.co.jp/club/centennial/tech2.html
投稿 その筋さん | 2009/03/27 14:54
権力の乱用を防ぐには。
http://myhome.cururu.jp/ell/blog/article/51002686161
投稿 真 | 2009/03/27 14:55
”神風号”神風特攻隊ですよね
誰があんな攻撃を煽ったか窺い知れます
投稿 13代目 | 2009/03/27 15:20
三島の伯父が一式陸攻乗りでした。
九六と違い、山本長官は機上戦死するは
桜花を抱いて特攻するは燃え易いで
生産数は多い不幸な歴史の爆撃機を忘れないでくれ~
投稿 ルーツが大社町 | 2009/03/27 15:26
九六式陸攻は旧海軍の飛行機でしょう。
そもそも、攻撃機と爆撃機の使い分けも、海軍の話だったと思う。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%9D%E5%85%AD%E5%BC%8F%E9%99%B8%E4%B8%8A%E6%94%BB%E6%92%83%E6%A9%9F
ところで、エンジンはP&Wのコピーだったんですか。今の自衛隊機も、エンジンなどの基幹部分は純国産じゃないものが多いですね。
投稿 名乗るほどの者ではありません | 2009/03/27 17:30
毎日新聞に使われた飛行機の設計者が、読売が主催する鳥人間コンテストで優勝する...しかもその鳥人間コンテストは今年は中止。来年は予定されているが、台所事情は良くないということで、タイトルにつながる、でいいですか?
ソースが明らかになることは、普及させるにはいいのかもしれないが、ブラックボックスな部分がないとぱくられておしまい。某半島、某黄砂を撒き散らす国のように誰かが創るのを待っておけば、うはうは。なんてことになるから、機密保持は大事です。
投稿 たま | 2009/03/27 18:16
>”神風号”神風特攻隊ですよね
違うと思うぞ、
投稿 ばってりー | 2009/03/27 18:20
おーーー血が騒いで来た
投稿 焼肉丼 | 2009/03/27 18:45
国産ジェットってだけで心ときめきますねw
投稿 deadman | 2009/03/27 18:53
自衛隊は憲法改正して合法化するべきなんですが
重慶爆撃の先例があるから
アメリカのB29の無差別爆撃を非難できない
ORZ
投稿 けろよん | 2009/03/27 19:53
ライセンス生産でも作れないものは作れない。
【事例】ヒュンデチャンドンチャ(HYUNDAY自動車とか言ったな、パピプペポなどという人名の通り正確に発音して欲しいモンだ)のようにトルクはへろへろ回転はあがらないのにガソリンは一人前に喰う。
プリンス・オブ・ウエールズ&リパルスの撃沈こそ有色人種の凱歌だ。
6万発の対空砲火をくぐり抜けての撃沈、まことに目出度い。
剛毅で知られたウインストン・チャーチルはベッドから落ちて転げ回ったっつーことだ。(チャーチル回想録)
ロシアを破り、英国を破った日本人は有色人種のチャンピオンでことだ。
文句ある人は、当ブログ主催者まで言ってこい。
オラは逃げちゃうから。
投稿 オタッキー | 2009/03/27 20:36
以前、折り畳み自転車が欲しくて探していたらYS-11の製造メーカーにいた技術者が作った自転車がありました。
飛行機と自転車って何か関連性があるのかな?w
バイク技術研究所
http://bikes.health-life.net/index.html
投稿 ぽんた | 2009/03/27 21:06