連日報道されている福島・会津若松の母親殺し高校生事件。切断した母親の首を学校指定の通学バックに入れて自首した行動をはじめ、不可解なことが多くてヤキモキさせられている。
現場を訪れてわかった新事実 現場近くの人から聞き込んだ情報をもとに、住んでいたアパートや自首する前に滞在したといわれるネットカフェ、会津若松警察署、少年の通っていた高校をまわってみた。すると、報道とは大きく違うポイントがボロボロ出てきた!!
最初に到着したのは、少年が警察へ出頭する前に2時間滞在したというネットカフェ。立ち入り禁止になり、休業しているかと思ったが、事件とは関係がなかったかのように通常営業していた。
ネットカフェに潜入 まずはお客として話を聞いてみた。カウンターの店員が設備によっていくつかある席のうち、どれがいいかとたずねてきたので、
「先日の事件の高校生が使っていた席をお願いします」
と言った。すると店員は困った顔をしながら、
「あのぉ、どの席を利用されていたかは、お教えできないんですよ」
という。しかしこれで事件に関わったネットカフェがここだと確信できた。
店内の写真をバチバチと撮っていると、店員の女性に「撮らないでください。フィルムを出してください」と激しい口調で注意された。「フィルムのカメラではありません。デジタルです。データを消すのは報道なのでイヤです」というと男性店員が出てきた。
名刺を出してくれという男性店員。自分の名刺を渡して「あなたの名刺もください」と言うと、いまは名刺を持っていないという。他人に名刺を出せといっておいて非常識じゃないかと問いつめると、なんとなく立場が逆転してこちらが優位になった(気がした)。チャンスと思って質問をどんどんした。
ねばって少年が座った席を教えてもらった たいていの質問は、(昨日の記者会見ですべて話したので)もう話したくないの一点張りだった。しかし、しつこく食い下がると、少年が利用していた席は「90番の席」だと教えてくれた。90番の席は、DVDプレーヤーとゲーム機「プレイステーション2」がある席だ。
報道によると少年は、出頭前にDVDを見ていたということだった。しかし、DVDが見られる席が多くあるにもかかわらず、あえてこの席をチョイスしたということは、ゲームをしていた可能性が高いのではないだろうか。店内にはゲーム機のない席もあるのだ。あえて「ゲームをしていた」ではなく「DVDを見ていた」という報道は「ゲームの残酷描写が影響した」という論調を避ける狙いがあったのだろうか?ひょっとすると、ゲーム機メーカーがテレビに広告を出す大手クライアントであることが、報道を曲げさせたのかもしれないと、一瞬思った。
また、ここで大切なことを思い出した。少年は事件当日の午後9時2分と午後11時20分に「2ちゃんねる」に書き込みをしていたとされている。書き込みをした後は、そこにどんなレスがついているかが気になるものだろう。しかし少年が利用した席は、パソコンがない席だ。ケータイで「2ちゃんねる」をチェックしていたのだろうか?
会津若松署で「ここにはいないよ!!」 店を出ると、すぐ近くにある会津若松署へ向かう。ネットカフェから600メートル位しか離れていない。テレビの中継車が駐車場を埋め尽くし、パトカーすらも駐車場を追われ、未舗装の場所へ移動させられていた。ここにたむろしている報道陣は、パトカーをどかすほどエライのか?
写真をパチパチと撮りながら、正面入口に行こうとすると、警棒を持った体格のいい女性警察官に止められ、威圧的な大声で、
「あぶないですからね! 近寄らないでください!!」
いまこの付近でサイフを拾ったとしても、届けることはできない雰囲気だ。
「報道みたいなものなんですけど……」
市民記者と名乗るのは、さすがに警察には通用しないだろうと思って、とっさに出た言葉だが、まったく通用しなかった。ぐんぐん近寄ってくるこの女性警察官に、外へ外へと追い出されてしまった。
途方に暮れていると、私服の警察官なのか、野次馬なのかわからない老人が、
「ここには(容疑者の少年は)いないよ。となりの猪苗代の警察にいるみたいだよ」
と教えてくれた。もっとなにかを聞こうと近寄っていったが、払いのける手つきをして、クルマに乗り込んでしまった。
野口英世ゆかりの地にある高校 警察を後にしてすぐ、付近を歩いていた10代後半の男性に話しかけた。すると詳しい情報は知らないとしながらも、少年が通っていた高校の名前と、その高校は以前は女子校だったので、古い地図には出ていないことなどを教えてくれた。
学校は市役所の近くにあった。すぐ前にはキリスト教会があり、野口英世ゆかりの場所という看板があった。野口英世が洗礼を受けた場所らしい。校門をくぐってすぐの自転車置き場にはほとんど自転車がない。つまり登校している生徒がいないのだ。少年が通っていた学校は休校になっているという報道から判断しても、ここに間違いない。
ぐるっと学校を一周すると、いくつものキリスト教会がある。そのひとつには、近く「“夜回り先生”が講演にくる」というポスターが貼ってあった。
下宿がさかんな町? 学校のまわりを歩けば、高校生らしい若者がつかまるかも知れない。話を聞けば少年のクラスでイジメが行われていたかどうか聞けると思ったが、残念ながらつかまった高校生は、みな別の高校の生徒ばかりだった。
人に声を掛けながら周囲を歩いていると、あることに気がついた。この学校の周辺はアパートが多いのだ。そして「下宿募集」というような看板も散見される。このあたりは、容疑者の少年と同じように、下宿をしている人が多いようだ。牛丼の吉野家など、単身者向きの食堂もいくつか発見できた。
学校のまわりの雰囲気はわかったが、少年が通っていたとされる病院や通学用カバンはどんなものだろうか。学校から約1キロの場所に、大きな病院を発見した。(
後編へつづく)