きょうのコラム「時鐘」 2009年3月27日

 上限1000円の高速道路料金引き下げが、あす始まる。早速出掛けようか。いや、渋滞は必至だろうし、天気も雪模様だから様子見とするか

手品を見せつけられたような、びっくりする値下げである。加えて、JR西日本も、四国全線と九州の一部まで乗り放題となる格安切符の発売を決めた。2日間通用は1万2千円。定額給付金狙いだが、安い高速道に対抗する大盤振る舞いでもある。春の旅に心が躍る

購入費を助成して売り込みに必死のETCだが、周囲からは購入をためらう声も漏れる。民主党が政権をとったら高速道はタダになるというのが理由。そうなると、ETCは無用になるが、高速道が大渋滞の混乱に陥る光景も目に浮かぶ。話はややこしい

高速道値下げにしても、民営化された各社の経営努力の結果ではない。料金の減収分は、政府が穴埋めする。2年間で約5千億円とか。旧道路公団の放漫経営の尻ぬぐいは、結局、われわれがさせられる

となると、「安物買いの銭失い」という言葉も浮かぶ。景気回復の旅ブームが起きれば結構だが、おいしい話にはちゃんと裏がある。