ニュース[WSJ] IBM、さらに5000人をレイオフIBMは新たなレイオフで5000人を削減し、業務をインドに移す計画だと情報筋は伝えている。2009年03月26日 11時36分 更新
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル) 米IBMは米国の従業員およそ5000人をレイオフし、その業務の多くをインドに移管する計画だと、この件を知る筋が伝えている。 同社はインドなどの地域で着実に人員を増やす一方で、米国で従業員を減らしている。2009年初めの時点で、同社の従業員約40万人のうち、米国人以外の社員は71%。2006年時の約65%より拡大している。 新たなレイオフの対象となるのは、グローバルビジネスサービス部門。企業のデータセンター運用から、Procter & Gambleなどの顧客の人事管理までさまざまな業務に携わっている。 顧客の契約終了あるいは作業の自動化に伴い、一部の業務はなくなる。だが多くの場合、IBMの社員らは、インドの従業員に、国外に移管する仕事のトレーニングをしてきたと話している。 IBMの広報担当者はコメントを避けた。同社は今年、主に上半期に、退職金関連の費用として約3億〜4億ドル程度を費やすとしていた。 同社は1月に、ソフトウェア部門や営業部門の社員など約4600人にレイオフを通知した。 またIBMは先に従業員に対し、新興国に移りたいのならIBMの仕事に応募できるが、賃金は現地水準になると伝えた。同社広報担当者は3月25日に、「数十人」がこの申し出を受けており、たいていは新興国出身者だと明らかにした。 インドへのアウトソーシングは以前から米国のITワーカーの間で議論になっていた。米企業はこの数カ月、数百万人を削減している。労働者や政治家は批判の声を強めているが、その効果はほとんどない。 「IBM社員は仕事が国外へと移されるのを目の当たりにしている。彼らにとっては後ろから刺されるようなものだ」と元IBM社員で、IBM労組の結成を目指すCommunication Workers of Americaを組織したリー・コンラッド氏は言う。 米ミシガン大学ビジネススクールのロバート・ケネディ教授は、労働組合や政治家は「オフショアリングを押しとどめたいが、ほとんど不可能だ」と語る。 特にITワーカーの場合、オフショアリングを止めるのは難しい。「インターネットが低速化しているわけでもなく、企業が紙の書類に戻っているわけでもない」からだとケネディ氏は言う。 IBMにとっては、低賃金国への業務移管は、国外での契約獲得や、売上高も社員数も最大のサービス事業の利益維持の役に立つ。公表されている最新の数字では、同社は2007年にインドで7万4000人を雇用している。 オフショアリングは「異なるコスト構造をもたらし」、IBMはInfosys TechnologiesやWiproなど、IBMの顧客を奪おうとしているインドのアウトソーシング企業と競い合えると、米調査会社GartnerでIBMを担当するカール・クランチ氏は言う。 IBMの新たな人員削減は、これまで世界的不況の中でも利益を出してきた企業でも、コスト削減を継続していることを示している。同社は1月に、44億2000万ドルの四半期利益を報告した。 利益を出している企業の中でも、米Microsoftは1月に5000人のレイオフ計画を発表し、米Hewlett-Packard(HP)は、IBMのサービス事業のライバルであるElectronic Data Systems(EDS)の買収に伴って約2万5000人を削減する。 IBMのレイオフの多くは、企業向けの専用ソフトを作成するグローバルアプリケーションサービス部門で実施される予定。 削減対象となる従業員の一部は25日に、同部門の約2000人が「IBMのリソース削減対策に参加する」という告知を受けるという通知を受け取った。 [William M. Bulkeley, Jessica Hodgson,The Wall Street Journal] この記事はダウ・ジョーンズとの契約の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。 Copyright (C) 2009 Dow Jones & Co. Inc. All rights reserved. 新着記事
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