2009年03月27日(金)
山梨大が助産師外来の運用マニュアル 診察項目、期間など詳細に規定
山梨大は助産師が妊婦健診などに当たる「助産師外来」の運用マニュアルをまとめた。産科医不足対策として県が本年度、同大に開設した助産師の活用策を研究する専門講座(寄付講座)の成果で、県内病院の助産師外来開設に向けた指針とする。外来の対象妊婦や必要な検査、医師への報告などに基準を設定。27日、助産師外来の開設を目指す医療機関の助産師らを対象に研修会を開き、マニュアルについて説明する。
助産師はお産を扱えるが、病院や診療所で産科医の補助の役割を担っているケースが多い。医師不足による県内医療機関の相次ぐ分娩ぶんべん休止を受け、県は、過重労働が懸念される産科医の負担軽減を図るため、助産師の活用を検討。寄付講座はその一環で、県が人件費や研究費を負担し、同大地域周産期等医療学講座の奥田靖彦准教授らが助産師外来の具体的な運用方法を研究してきた。
マニュアルでは、助産師外来で診られる時期を、医師の診察が必要な妊娠14週までの初期、胎盤の位置確認が必要な24週前後などの時期以外と定めたほか、対象となるリスクのない妊婦の身長、年齢、既往歴、妊娠周期ごとの診断を細かく定義した。
診察項目は体重、超音波など8項目。超音波では胎児の心拍数、羊水量などを計測の必須項目とした。医師への報告が必要な症状についても基準を設けた。
運用では、担当するのは助産師免許取得後3年以上の妊婦健診、超音波の教育を受けた助産師と規定。医師と同じカルテに記入するほか、定期的に医師とカンファレンスをし、情報の共有化に努めることも盛り込んだ。
寄付講座には研修も含まれ、同大は助産師免許取得後3年以上の助産師20人を対象に、3月末と7月からの2回、研修会を実施。それぞれ3回の講義と1回の実技講習を行い、11月に同大の助産師外来資格試験を実施する。
奥田准教授は「助産師によるきめ細かいケアは安全性に加え快適さも提供できる」と助産師外来の意義を強調。助産師が主体的に分娩にかかわれる体制づくりにつなげたい考え。県は「多くの病院でマニュアルを活用し、助産師のスキルアップと妊婦が安心して助産師に健診を任せられる土壌づくりを進めてほしい」としている。
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