入院4人転院20キロ先 診療センター無床化・九戸
搬送されたのは79歳から87歳までの男女4人。午前10時前から午後2時半にかけて、センターが用意するワゴン車で軽米病院へ移った。 肺炎を患う山下寅蔵さん(79)は昨年8月に入院。毎朝見舞いに行くのが日課という妻の農業スエさん(78)は「夫の楽しみはひ孫の姿。自宅から病院まで遠くなり、家族は気軽に見舞いに行けなくなる」と残念そう。 センターから軽米病院までは急カーブや坂道が続き、車で約30分。「農繁期に往復1時間かけて見舞いに行くのは難しい」と嘆いた。 県医療局は転院患者の家族向けに無料の送迎用タクシーを用意。朝昼晩の定期便を運行するかは検討中という。 九戸センターの4月以降の診療体制は常勤医が1人増えて2人(いずれも内科)となり、県立二戸病院長を兼ねる佐藤元昭センター長(内科)の回診は従来通り週2日実施する。外来は平日の日中のみ受け付ける。佐藤センター長は「医療現場は医師不足で既に崩壊している。これからは患者、家族、医師が苦労を分かち合いながら、やっていきたい」と語った。 九戸以外の花泉(一関市)、住田、大迫(花巻市)、紫波の4地域診療センターでは26日、住田で特養ホームに2人、花泉で県立磐井病院に1人が移った。4センターには現在計10人が入院している。今後、大迫で県立遠野病院に1人が移る予定で、ほかの患者は帰宅か、特養ホームに入る。
2009年03月27日金曜日
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