鹿児島県徳之島の闘牛を研究するタイ人女性。日本全国のジャズ喫茶を巡り歩いた米国人。やくざ研究のため親分と杯を交わしたイスラエルの大学教授もいる。
国際交流基金が発行する雑誌「をちこち」27号で「世界の研究者が見つめるNIPPON」を特集し、さまざまな研究を紹介している。外国人の日本研究は、日本人と異なる斬新な発想がとても面白い。
太平洋戦争で日本語を学んだ米国人らが中心となった日本研究は戦後、著しい発展をみせた。岡山でもミシガン大学日本研究所が岡山分室を設け、地理や歴史の分野で成果を挙げた。
経済や政治などの問題を語る外国人の専門家はテレビでもおなじみとなった。最近では民俗学や考古学、美術、音楽、映画などへ分野が広がる。アニメや漫画ブームも後押ししているらしい。
しかし、国際日本文化研究センターの猪木武徳所長は、欧米の研究環境に生じる変化を懸念する。米国の大学では日本講座が東アジア研究に再編されたり、ドイツの大学でも日本研究所統合の動きがある。研究が中国やインド、中東などにシフトしたことが背景という。
猪木所長は海外の学術研究や交流を支える「学術外交」の必要性を強調する。海外の日本理解者が減ってしまうことは日本にとって大きな損失だ。