【ワシントン=小川聡】米国防総省は25日、2009年版の「中国の軍事力に関する年次報告書」を米議会に提出、公表した。
この中で、「中国海軍は20年までに複数の空母を建造する方針だ」とする見通しが初めて示された。
報告書は、中国軍高官が昨年11〜12月に、「問題は空母を持つかどうかではなく、空母を使って何をするかだ」などと、空母保有の意図を表明したと指摘。艦載機として、ロシアから「スホイ33」の購入を目指しているとした。
そのうえで、「15年までに運用可能な国産空母を持つことはないだろう」としながら、中国の造船能力や外国からの支援を踏まえ、20年までに空母を複数保有すると分析した。
一方、中国海軍がソマリア沖の海賊対策に護衛艦を派遣するなど、「遠洋作戦能力」を強化していることを「国際社会に貢献できる」と評価する一方、「拡大された軍事力が何に使われるのか、不透明さが多く残っている」とけん制した。
中国船が昨年12月、尖閣諸島沖の日本領海を侵犯した事案など、複数の領有権問題を抱える中国の現状も紹介し、「こうした『遠洋作戦能力』は、領有権の主張を強制的に実現しようとするための兵力展開を可能にするかもしれない」と懸念を示した。
中国軍が南シナ海に位置する海南島に新たな海軍基地を建設し、潜水艦の遠洋展開の拠点にする意図を持っていることにも初めて言及した。
海南島沖では今月上旬、米海軍調査船が中国艦船による航行妨害を受けている。
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