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堺屋太一のビデオコラム vol.88 いつまで続く!?東京集中(2)

編集部2007/12/03
進む『東京一極集中』の構造。昨今話題に上る道州制にはどのような利点があるのでしょうか?果たして地方が生き返る術とは!?
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ビデオコラムよりテキスト化・一部抜粋
 ――道州制の利点ということですね。まず第一に国が縮小する、そして地方が強化される。これは“near is better”。政治行政というのは“near”、身近なところにある方がいいんだ。国は遠い、けれども道州になるといくらか身近である。したがって選挙なんかでも道州だったら自分の1票が道州の政治を変える、そういう可能性が高くなる。財政にしても監視がゆき届く。まず中央を縮小して地方を強化することに利点がある。

 2番目には地域間競争が行われる。これだけのところを分けますと、どこのところが発展しているか。今の電力会社の競争がありますね、そういうような競争があって善政、いい政治の競争が起こる。また、地域にそれぞれ誇りが生まれる。ぜんぶ東京、中央に従属しているのではなしに「うちの地域はこういう利点がありますよ」、そういうような誇りが生まれてくる。

 そして3番目には公共事業が、各地方に適したものができる。先ほど申しましたように道路ならここの道路、「うちは山岳地帯ではこういう規定にします」とか、あるいは「うちは歌舞伎座を作ります」「うちはオペラ座を作ります」というような文化の特殊性であるとか、そういうようなことがどんどんとできるようになってくる。こういう公共事業の地方適合性、あるいは文化の公正性とか多様化、そういうものができる。

 そして最後に、過去からの補助金の公平化。「過去からの補助金」、聞き慣れない言葉だと思いますが、過去に作ったもの、例えば東京ですと東京の地下鉄の初乗りは非常に安いんです。日本一安いんです。それはなぜかというと、戦前にできた銀座線、あるいは終戦直後、昭和20年代にできた丸ノ内線、そういうのは今はもう建設したときのコストはタダになってるわけですね。そういうものはうんと収益を上げる。だから新しい地下鉄を作ったらそれは非常に高いんですが、全部ならしてみると東京がいちばん安くなる。

 ところが京都であるとか名古屋であるとか、最新の埼玉新線ですね、これなんかは新しく作ったものですから、そういう昔安いところから収益が上がってくるという補助金、「過去からの補助金」がないから値段が高いんですね。これをぜんぶ公正に、例えば国有財産を今、国の借金がありますから、これと一緒に売却をする。国から道州に売却をする。

 そうすると道州はたくさん持っているところ、たくさん国の財産が投入されているところ、例えば東京でしたら国立劇場もあります、国立競技場もあります、国立美術館もあります。地方にはそういうのは全然ない。そうすると東京はそれを引き受ける代わりに国の国債もたくさん引き受けて、それで地方と東京とが公平になる。こういう機能があるというわけですね。

 そういうようないろんな利点がある。これをぜひやってみようじゃないか。これが今始まった議論なんです。これが皆さんにどこまで理解されるか。いろいろ問題があります。「やっぱり国の役人の方が地方の役人よりりっぱだよ」という人もいるし、「やっぱり国がやってくれた方が安心だ」という人もいる。なにより大きいのは「国から補助金をもらうのがいいんだ。国のおかげで交付金や補助金をもらって気楽にやりたい」。そういうような考え方がいろいろあるんですね。

 ぜひ、この道州の議論というのを皆さん方もご理解いただいて、どうしたらいいか真剣に議論していただきたいと思います。――
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