ビデオコラムよりテキスト化・一部抜粋
──政界は大荒れです。民主党が参議院選挙で大勝したと思ったら、今度は小沢代表が連立内閣を作ろうと提唱したとか、あるいはそれは福田総理の方から持ちかけたとか、まあ色々と噂はありますけどとにかく大連立、自民党と民主党とを合わせた政権を作ろうという話が首脳会談で出たようですね。それで今日は、この大連立というのは実現したら国民にとってどうなのか、日本の政治にとってどうなのか、この問題をこれから2週間に渡って大いに論じたいと思うんです。つまり、大連立の功罪、功と罪ですね。これをどう考えるか、国民の皆さん方にもいよいよ真剣にこの問題を考えてもらわなければならない時がやってまいりました。
まず大連立の功罪の功の方、こちらの方について考えてみましょう。今、大連立がなぜ必要なのか。それを言われているのはだいたい当面の問題の処理なんですね。この当面の問題というのは何かと言いますと、まず第一が外交。外交と言ってもその内容はテロ特措法。インド洋あたりでですね日本がアメリカなどの軍艦に油を給油している、それを継続する。極めて当面の問題なんですね。
第2番目は財政です。この財政では特に消費税の値上げをどうするか、これをやると当然その内閣は人気が悪くなって、その支持政党、内閣を作ってる政党は選挙で負けるだろう。だからなかなかやらないわけです。小泉さんは自分の政権の間は消費税は値上げしないんだ、というので赤字をどんどん積んでいた。これを解決するのは大変に勇気がいる、損な役回りです。じゃあ大連立でやったら、民主党も自民党も公明党も一緒になってやったら、みんな悪いんだから誰も損しないじゃないか、と言うので財政再建には大連立をやったらやりやすいんだと、こういう話です。これもですね本来ならばどこかの内閣がきちんと議論して、本当に消費税の値上げをするのか、歳出削減で行くのか、歳出削減ならどの程度国のサービスが落ちるのか、どんな犠牲が出るのか、そういうことをきちんと議論してやるべきことを大連立でやろうという、非常にテクニカルなまさに当面の話なんですね。
3番目は年金です。年金というのは年金問題。これは年金を根本から解決するということではなしに、今言われている年金問題は年金不祥事、記録がなくなったとか、詐欺があったとか、いろいろ小さな問題が出てくる。これではなかなか大変だから大連立をしてそんなことを議論しないでやって行こう。極端な言い方をすれば、臭いものに蓋をしよう、というような年金問題なんですね。もちろん、その後に、そのなかで何らかの解決をしよう。そういうことはありますけれども早く言えば臭いものに蓋をするというような話なんですね。
そして四つ目、これは地域格差を失くすという問題なんですが、この地域格差を失くすのにいろんな案が出ています。けれども当面言われているのはどういうことかというと、東京のような豊かな所、豊かな自治体からお金を貧しい自治体に回す。何らかの方法で東京で上がる税金を国の方に吸い上げて、それを地方交付税とか補助金とかの形で地方に回す。そのぐらいの話なんです。それもなかなか東京の人は納得をしないんではないか、だから大連立でみんなでやろう。そんな話なんですね。つまり、大連立をやったら、こういうことができる、ああいうことができる、今の政局が非常に良くなる、良くなるというか前に進む。そういうことを言っているんですが、これをご覧になるとおわかりのように(ビデオコラム参照)どれもこれも当面の話なんですね。今すぐの話。これで日本の根本が良くなるような話ではないんです。──
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