ビデオコラムよりテキスト化・一部抜粋
――正月早々非常に景気が悪くなっています。特に株が値下がりしているという問題があります。証券、株というのはすべての経済を反映するものですから、これが値下がりしているというのはやはり日本経済全体によくない、ということなんですね。では、正月になってから猛烈な勢いで日本株が下がり出した、その理由は一体なんだろうか、このことについてお話をしたいと思っています。
まず、この数字をご覧ください。(ビデオ参照)これは生の数字ですのでちょっとわかりにくいかもしれませんが、株が大暴落をした。これは各年の平均をとっているわけですけれども、株が大暴落したというのはまずこの時期ですね。1990年から93年にかけて、この年には非常に大きく下がりました。この数字は年の平均をとっているから非常に緩やかに出ておりますけれども、実をいうとこの1989年の大引けのとき、大納会という12月の最後のときですね、このときには日経平均が3万8,900円してたんです。それからドドッと下がってその年の翌年、1990年には平均が2万4,000円割れになった。それからさらにどんどん下がって92年には1万7,000円割れまで行くわけです。相当大きな値下がりがこのときにありました。
そしてその次は、1999年から2000年にかけて変わった。このときも相当大きく変わりまして、2002年にはとうとう1万年割れで8,000円というこんな数字が付いた事があります。これが2回目の大暴落でした。このとき何が起こったかといいますと、日本では金融大不況、銀行が倒れる、長銀、日債銀が倒れる。貸し倒れ貸し渋りというのがどんどん起こった、そういう時期なんですね。企業の倒産もたくさんありました。何とか緊急的に持ち上げなくてはいけない、大変な時代だったんですね。
それからやや回復をいたしまして、今度は今年になって大暴落が始まった。正確にいうと去年の9月ごろからどんどんと株価が下がり出して今年になって急激に下がった。だいたい、これを見ますと9年ごとにそういう事が起こっているんですね。それから見ると今回の値下がりもそう簡単に終わるのではなくて、やはり前2回のごとく2年ぐらいはひびくのではないか。今年いっぱい、あるいは来年までひびくのではないか、そういうような見方が出ております。
これだけ株価が下がるとき、それぞれに理由があります。今回、株が下がっている理由は何かといいますと大きく分けて3つ挙げられます。第一は日本国内の景気が非常に悪くなってきた。この日本国内の景気が悪くなってきた理由は大きく分けて2つなんです。1つは消費が伸びない。百貨店やスーパーマーケットの売り上げがずーっと減少気味である。景気は良くなった、企業は利益が出ている、というものの個人の所得は増えていない。だから個人消費が増えないんですね。これが1つ大きな理由です。その中には例の格差の問題、ワーキング・プアといわれて非常に貧しい人が沢山いる。どんどんと雇用は増えた、景気は良いといいながら、派遣社員であるとかいわゆる非正規社員という人は給与が非常に低い。働いても働いてもお金が使えないような人がたくさん出てきた。また、地方の景気が悪い。地方ではなかなか消費に回らない。そういった消費の不振、これが非常に大きな理由なんですね。
もう1つ日本国内の問題としてここへ来て大きく目立ってきたのがいわゆる官製不況、官僚が作り出した不況というものなんですね。官僚はいろんな統制や規制やそういうスキャンダルの摘発なんかを盛んにやりました。このことが非常に消費を冷やしたり、投資を減らしたりしているのではないか、というわけです。
その中でも特に目立つのが去年の7月ぐらいから始まりました建築基準法の改正、それに従って生じてきた建築確認の遅れなんです。建築をする時には役所の許可を取らなければいけませんが、この役所の許可を取る建築基準法を去年の6月に改正いたしました。そして非常に厳しくした。その必要性は例の姉歯建築士による偽装事件、そういう事があったので鉄筋の数が足りないような建築ができては大変だというので非常に厳しくしました。そのためにこれを検査する、建築出願を検査するのに手間がかかる。しかも役所のほうでは建築基準法を改正したにもかかわらず、こういう具合に検査するんだよというマニュアル−−−それぞれ検査する人は市町村であるとか、あるいは建築確認会社とか、そういう方々がやるときの元になっている基準を示すマニュアル−−−を配っていなかったんですね。これは役人としては恐ろしい怠慢、無能であります。――
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