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堺屋太一のビデオコラム vol.98 緊急!!景気の後退(3)
2008/02/11
日本経済全体の低下を意味する『株価下落』。今回はアメリカから始まった、《サブプライムローン》の破綻についてお話します。
果てしなく積み上がった不良債権を、アメリカはどう処理して行くのか? 昨年の困難な市場環境は2008年も続き、相当厳しい経済予測をせざるをえないのです。


ビデオコラムよりテキスト化・一部抜粋

――このところ3回続けて株価の値下がり、日本の景気ということについてお話しています。今日はこの3回目なんですけれども、第一回では株が値下がりしている、日本が不況になりだした、この国内の要因について−−消費が伸びないことと官製不況について話しました。2回目の先週は為替の動向、いわゆる円高がどう影響しているのか、このことについてお話しました。

今日はもう一つ、アメリカから始まった信用ファンド、いわゆるサブプライムローンのファンドということについてお話したいと思います。じつはこのサブプライムという話、皆さんもよくお聞きになっていると思いますが、本当にどんなしくみでどうなっているのか、新聞などを見てもなかなかよく分かりません。それで、今日はこのしくみについてお話したいと思います。

前2回も使いましたけれども、この株価の下落(ビデオ参照)は過去にも何回かありました。1990年ごろ株価が下がった。この時もじつはアメリカが関係してまして、この時もアメリカの金融不安がありました。そのアメリカの金融不安というのはジャンクボンド−−ジャンクというのはクズということなんですが、あまり信用性のないクズボンド(bond:債券)、そういうものを高い金利で売買する、これが破綻した。それから、やはりこの時も不動産、住宅に対するローンが破綻した。そういうことがありました。

それからその次、97、98年に悪くなって同時多発テロの時まで続くわけですが、この発端になったのはロング・ターム・キャピタル・マネージメントという有名なファンド会社が破綻したんです。このロング・ターム・キャピタル・マネージメントという会社はショールズ(Myron Scholes)というノーベル賞をもらった−−こういう先物取引の理論を考えてノーベル賞をもらった偉い学者がやってたんですね。「だから大丈夫だ」というので信用されてたんですが、この時に破綻をいたしました。そういうことで非常に金融界が混乱した。それがやはり日本にも影響しました。

そしてその次、今ですね。今、株が下がってきています。この値下がりの原因の一つが、アメリカに端を発したサブプライムローンだと言われてるんですね。で、サブプライムローンとはいったい何者か、このことを今日はお話したいんです。

サブプライムローンのしくみをここに書いてみました。これは金融機関が低所得者−−所得の低い人あるいは定職が必ずしも無い人、そういう人にお金を貸すんです。お金を貸しましてローンを組みまして、それによって住宅を買わせる。住宅を買うと当然ローンを返さなければいけませんね。ところが所得が無いからローンは返せない。そういう人に貸すんです。どうしてそんな乱暴なことができるかというと、「住宅の値段が上がる、それを売ると(お金を)返せるではないか」、と。だから、3年、5年、タダの家賃で住んでいるようなかっこうになるんですね。甚だしいのになりますと3年間は払わなくていい、3年間据え置きでローンを組んでいい、そんなものもありました。

だから住宅がどんどん値上がりしている間は、これはうまく行くんですね。ところが一旦値上がりしなくなるとうまく行かなくなる。ところがそんなものをどうして銀行が貸したのか、誰しも不思議に思いますね。ところが、これには様々な仕掛けが組み込まれているんです。というのも銀行は低所得者に貸した債券を、低所得者から証書をもらいます。それを証券化して売っちゃうんですね。一つや二つじゃありません十万とか二十万とか、でっかいボリュームのものです。それをまた小分けをします。そうすると一人が破綻してもあとの十人が破綻しなければ金利が高いから儲かる。そういう大きな数にすることによって危険を分散する。そういう名目にして証券にする。その証券を、十万人の口のものを、十口に。だから一人の人が、十万人の一人の人が十分の一ずつ入っていると考えてください。そういうものをファンドであるとか別の銀行であるとか証券会社とか、また証券会社が個人に売るわけです。そうすると、通常よりも金利が高い。危険はあるけれども金利は高い。いわゆるハイリスク・ハイリターンですね。だから買う人がいる。こういうしくみになっています。――

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