トップ > 政治 > 堺屋太一のビデオコラム Vol.123 〜麻生内閣の命運〜 第1回
政治

堺屋太一

ビデオコラム

麻生内閣

支持率


堺屋太一のビデオコラム Vol.123 〜麻生内閣の命運〜 第1回

編集部2009/01/12
国民の期待を背負って就任した麻生総理。年が明け、支持率の低迷と求心力の低下が、ますます不安視されています。果たして麻生人気下落の原因は何なのか?発言のぶれでしょうか?指導力の欠如でしょうか?その他にも『官僚による改革後退』という現実を見逃すわけにはいかないのです。
NA NA NA

ネットニュース 動画配信

麻生内閣の命運 第1回(13分30秒)

ネットニュース 動画・音声配信

ビデオコラムよりテキスト化・一部抜粋

図1.麻生内閣の支持率
新しい年に入って、いよいよ政局も慌ただしくなってまいりました。麻生内閣が発足して5ヶ月、早くもその進退が語られるようになっています。今日はこの「麻生内閣の命運」、これをテーマにお話をしたいと思っております。

麻生内閣は当初、福田内閣そしてその前の安倍内閣が約1年ずつで突如終わるような感じを与えた、そんな終わり方をしました。その後を継いで、国民的人気があるだろうという麻生さんを自民党は圧倒的多数で、5人も候補者がいた中で圧倒的多数で選んだんですね。その大きな理由は、麻生さんは若者向けにいいのではないか、これから間もなく行われるであろう選挙に向いているのではないか、こういったことで選んだようです。したがって選挙に、この内閣が出来上がって間もなく(図1参照)、麻生内閣の支持率は48%、不支持率が36%でありました。支持率の方が高かったわけです。

それが次の1ヶ月のちに調べたところでは、もう支持率と不支持率が均衡している、そしてそれからずーっとそういう状態だったんですが、11月・12月に入りまして12月7日に行われました朝日新聞や読売新聞の調査では、支持率が22%、不支持率が64%、こんなにひらく結果になりました。歴代の内閣でも人気の悪い内閣、支持率の低い内閣になってしまったんですね。急激に変わってしまいました。

図2.就任時と退任時の支持率
この麻生内閣の支持率を過去の内閣と比べてみるとどうかといいますとこんな形になります。(図2参照)各内閣とも就任したときは非常によろしい、新しい総理大臣ができた、まずは支持してみようかというのが国民心理でございますから、必ずこの就任時の支持率は高くなります。橋本龍太郎内閣は59%、小泉純一郎内閣は85%、安倍晋三内閣は67%といずれも50%を上回っておりました。その中でただ一つ非常に支持率が低かったのは、この小渕恵三内閣の25%が断然光っておりますね。こういうような支持率で発足するんであります。

そして、まず期間は違います、2年ないし2年半、小泉内閣などは5年でございますけれども、そういうのもありますし、それからこの安倍内閣・福田内閣は1年でございました。麻生内閣はまだ5ヶ月でございますが、それでお辞めになった時に支持率がどうかといいますと、森内閣の9%が光っておりますけれども、あとは大体2割台、ただこの小泉内閣ですね、小泉内閣は45%を維持していた。そしてもう一つ、小渕内閣は発足の時よりもお辞めになる時の方が良かった。これは小渕さん、小渕元総理大臣が急にご病気になり、それで意志表示が出来なくなったので退職された。早く言えば国民の側からいうと、もうちょっとやって欲しい総理大臣であったと言えるでしょうね。一時ずーっと25%から10%ぐらいまで低迷いたしまして、それからどんどん上がってきてこの28%を戻したところでお亡くなりになった。惜しい内閣であったと言えるかもしれません。

この数字に比べまして、現在の麻生内閣、17%ですね。森内閣を唯一の例外にいたしまして、森さんは辞めるつもりでおりましたから、そういう内閣を除いて見ますと断然支持率が低いと、こういう状況になっているわけです。したがって支持率と内閣の命運が関係あるとすれば、この麻生内閣はいつお辞めになってもおかしくない状態になっていると言えるでしょう。


図3.麻生総理人気下落の原因
さて、ではかつてこんなに評判の良かった、支持率の高かった麻生内閣がなぜこれほど急速に落っこったのか、その原因について考えてみましょう。(図3参照)
まず、様々に言われるのはこの麻生総理個人の総理としての資質、あの人は総理大臣をやっていけるような見識や人物や健康があるんだろうか。一人の政治家を評価するためには、まず人格的識見ですね、人間としての識見があるんだろうか。それから国の長として、行政の長としての知識や技能があるんだろうか。そしてやはり問題はこの健康ですね、この健康は大丈夫なんだろうか。この3つが絶対的要素です。その他に党内の支持であるとか、世論の支持であるとか、あるいは外国との人脈であるとか、お金集めとかありますけれども、一番の資質というのは、この人格・識見の問題と知識・技能の問題とそして健康の問題です。

麻生さんはオリンピック選手です。射撃でオリンピックに出られた、非常なスポーツマンです。射撃といえば鉄砲で的を撃つだけだからそんなに体力を消耗しないだろう、体力無くても出来るだろうとお思いかも知れませんけれども、実はこれはなかなかオリンピックに行くということになりますと、ランニングからいろんなことをやらなければならない。そういう意味では、かなり健康には自信があるんじゃないかと思われますね。

それとは逆に麻生内閣発足以来、いろいろと言われた事があります。その第一は誰でもわかるこの漢字の読み違いなんですね。漢字を読み違える。「未曾有」を「みぞうゆう」と読んだりですね、「頻繁」を「はんざつ」と、これはちょっと問題ですけどね、読んだというのもあります。その他いろいろ漢字を読み間違える。漢字を読み間違えるんでは総理大臣として知識不足じゃあないか。いろいろと運動をしておられたから、あんまり読み・書き・そろばんの方は得意じゃないんじゃないか、これでは情けないという意見が出ました。

これは時々官僚たちが流す意見なんです。これを流すのは完全に官僚なんですね。官僚は自分たちは東京大学を出て、長年積み上げた知識がある、これが一番自慢ですから。官僚以外の人、これは政治家でも財界の人でもそうなんですが、官僚はあれは知識が無いと言いたがるんですね。それに引っかかるような材料を与えたという事が言えます。

同じ様な事は森内閣のときにも有りまして、森総理大臣が「IT」と書いてあるのを「イット」と読んだ、なんてこれは笑い話、作り話ですが、そんな事もありました。とかくそういう噂が流れ易い、流れ易いときにテレビや国会で読み間違えがあったというのは確かに問題でしょう。

同じようなことは「交付税」と「交付金」という話があります。「地方交付税」これは国が税金を集めて、その税金を無条件で一定の基準に遵って地方に与える。これは総務省、昔の自治省が所管しているお金なんですね。それに対して「交付金」というのは、いったん国が納めまして、これをある目的にしたがって都道府県に与える、こういう違い。ちょっとこれはプロでないとわかり難い話なんですがそれを間違えた、逆に言った、あるいは差がよくわかっていなかった。そんな話も出ております。
FSSTREAM 映像の配信には富士ソフト(株)の【FSStream】を使用しています。
・映像配信(ストリーミング)は、Windows用「Internet Explorer 5.5以上」に対応します。ほかのブラウザ、OSには対応していません。
・初めてご覧になるときはプラグインをインストールします。「セキュリティ警告」のダイアログボックスが表示されますが、「はい(y)」を選びます。自動的にプレーヤーがインストールされ、ストリーミングがスタートします。
>>初めてストリーミングをご利用になる際の注意点

>>堺屋太一ビデオコラム

シリーズ一覧:

3月16日〜22日 

編集部オススメ記事

記事ランキング

見た。読んだ。考えた。利用規定