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堺屋太一のビデオコラム Vol.118 迫る!政界再編の時 〜第2回〜

編集部2008/10/20
今度選挙があったらどんな結果になるだろうか、今回はもうあらゆるケースが考えられる。
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堺屋太一のビデオコラム Vol.118 迫る!政界再編の時 〜第2回〜(14分46秒)

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ビデオコラムよりテキスト化・一部抜粋

 いよいよ総選挙が近づいてまいりました。で、今度選挙があったらどんな結果になるだろうか、このことについてお話ししてみます。

 さて、解散はこの衆議院で行われるわけですが、衆議院を解散すると一般に言われてますのは、この自民党ががっくり減るだろう、そして前に大敗した民主党が相当に伸びるだろう、こういう予測なんですね。

 特にこの自民党の中には前回、小泉さんの人気で当選した83人の1年生議員、初めて当選した議員がいます。この1年生議員、俗に「小泉チルドレン」なんて言葉もあるんですが、そういう人たちは選挙基盤が固まっていないから、大量に落選するんじゃないか、そういうことも含めて大いに減るだろうと言われています。

 そこで、じゃあどういうケースが考えられるか、今回はもうあらゆるケースが考えられるんですね。その第1は、やっぱり自民党が第1党になって、公明党と合わせて多数をもつよと、こういう考え方です。自民党が仮に220人以上をとりますと、公明党と合わせますと過半数にはなるでしょうね。大体この220人、これが1つの目処でございます。

 そうするともうはっきりと自民・公明の連立政権、今と同じ政権が続くと思われています。そうしたら「ねじれ国会」はずーっと続くということになりますけれども、やはり一番大きな選挙、総選挙で勝ったとなると、参議院でもそれ程反対は出来ないので、すっきりと自民・公明の現在のような体制が進むのではないか、これがまず第1のケースです。

 ところが逆に自民党が負けて民主党が勝つ、民主党が過半数をもつという場合ですね。民主党が240人くらい、過半数は242人なんですけども、このくらいとりますと必ず付いて来る人、入党する人がいますから、これは民主党政権になります。

 そのときにどういう組み合わせが行われるか、民主党だけなのか、国民新党がくっついてくるのか、まあ国民新党はくっついてくるでしょうね。あと無所属議員がどうするのか、というような問題はありますが、これくらいとりますと、もうきっぱりと民主党の内閣ができる、ということになります。

 問題はこの間なんですね。この間にどんなケースが考えられるかというと、まず1つは自民党が過半数はとれないけれども第1党である、民主党より数が多い。これには210(人)くらいとらないといけないですね。自民党が210(人)くらいとって、公明党と合わす、公明党が30人くらい、20数人から30人くらいでしょう。これを合わすと240人、そこに現在の無所属とか何とかを入れると過半数になる。ぎりぎり過半数になる。こうなった場合にどうなるのか。まあ自民党・公明党の内閣が出来るでしょうね。

 しかしこうなりますと、選挙の結果は昔(現在)の304人が210人くらいになると、これは自民党大敗だと、大敗した政党が政権を維持していいのか、これは参議院の少数も含めて大変やりにくい、ぐじゃぐじゃとした状態になって、また解散になるか、あるいはいろんな駆け引きが行われるか、そんなケースになるでしょうね。

 次は民主党が第1党になった場合。民主党が過半数ではないけれど第1党になる、これには民主党が230人くらいとらなければいけません。230人くらいとって、自民党が200人くらいだということになりますと、民主党を中心にこの国民新党その他が集まって、政権が過半数に届くでしょう。そうすると民主党中心の内閣が出来ます。

 これは参議院も一緒になりますから、同じ形になりますから、いわばすっきりしますけれども、ただこの民主党の中、それからくっついてくる国民新党その他、こういう人たちも非常に意見はばらばらです。だから果たしてうまくいくのか、これは大きな問題ですね。

 で、この間にもう1つケースがございまして、自民党も民主党も、どう組み合わせても過半数にならないというケースなんですね。というのは、共産党それから社民党という、こういう政党が、共産党が仮に20人くらいになるとか、社民党が10人以上になるとか、この辺が合わせて25人、30人くらいになりますとですね、こっからこの共産党と社民党を残して、後はどういう具合に組み合わせても、うまく過半数にならない。いわゆる「少数与党」という、こういう状態が出てくる、この可能性もあります。うがった(見方の)人はこの社民党なんかも入るんじゃないかと、こういうような政権構想もあるわけです。

 この4つのケースから、どんな政権ができるか考えてみますと、そうなったときに自由民主党が分裂する。そしていわゆる「上げ潮派」といわれる人たち、これが飛び出して民主党と結びつく。民主党が第1党になると、自民党の方が割れるだろう。こういう説を唱える人がいます。

 もう1つは今度は逆に、民主党が割れるんだと。民主党というのは非常に幅の広い政党です。一番右の方には、かなり国粋的といいますか、愛国的といいますか、そういうタカ派の人たちがいる。それからずーっと逆に左側には、旧社会党系の方々もいる。

 仮に日本の政治と言うのが右から左まで、右の1から左の10まであるとする。そうしますと、自民党は大体3から6くらいの間、極端な右の人はいない、そして左の人もいない。せいぜい精一杯で全体の中道、大体3から6くらいまでの政党、それに公明党が大体6から7くらいの間、これがくっついて今の内閣が出来ているわけですね。

 ところが民主党というのは、極右という人はいないかもしれませんが、右の2から左の8くらいまで、9・10という共産党・社民党のところは少し欠けていますが、2から8くらいの政党。非常にこれだけでも幅が広い。だから民主党の方が政策的にこの自民党に近い方が割れてくる、こういう可能性もあるというんですね。これが民主党が割れて、自民党中心にくっついて多数を形成するだろう、こういうケースも考えられています。

 3番目には、自民党も民主党も割れるんだ。誰かが自民党を割って、何十人あるいは百数十人、そういう人たちが出てくる。そうすると民主党の方も割れる。従っていま申しました自民党の3から6まで、民主党が2から8までというのは、両方が大体3から6までの人が集まって政党を作る。そういうような仕掛けがあるのではないか。こういう民主党も自民党も割る、これは「政界大編成」です。だからこれが新しい政党、中道政党というのが新しくできるか、できないまでも2つの中道政党が存在をして、左右がぽろぽろと落ちていくという形になりますね。こういう可能性がある。

 そしてもう1つは、どこも変わらないで自民と民主が連合政権を作っちゃう、ということです。これが一番ありうるんです、実を言うと。現在の政治資金法、政治資金を国が助成する政党助成法を考えますと、政党に入っていると国から大変沢山のお金が補助されるんですね。大体、衆議院議員1人で1年間に6千万円以上落ちてきます。その中には「歳費」という、議員が生活するための費用の他に、政策研究費でありますとかいろんな名前で政党に出している。その政党に出しているのが各政治家にも分配されている。また秘書の手当、これが3人の秘書の手当、運転手の手当、そういうのが沢山出ます。それに通信費とか政策研究費とか、単純に割りますと1人6千万円以上国がお金を出しているんですね。そういうお金が政党別にくるんです。

 従って、今度の衆議院でとった政党の票数に比例して、国会議員が5人以上いるところは政党と認められる。4人じゃだめなんですね。だからなかなか割れない。割れたら国のお金の分配が不利になる。従ってこの自民・民主の大連合が出来る。これを出来ると強力な政治が出来るんじゃないかという人がいるんですが、実は逆なんです。
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