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堺屋太一のビデオコラム Vol.117 迫る!政界再編の時 〜第1回〜

編集部2008/10/06
現実味を帯びてきた政権選択選挙。世界恐慌的現状で渦巻く経済。不況に転じた世界経済の中で、果たして総選挙はどのような論点で争われるのでしょうか?
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迫る!政界再編の時 〜第1回〜(16分33秒)

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ビデオコラムよりテキスト化・一部抜粋
 さあ、いよいよ総選挙です。麻生内閣が発足をして今、国会論戦が開かれております。これから補正予算の審議をするかどうか、そういう問題はありますけれども、どうやら今年中は確実に解散がある、そんな気配になってきました。そこでこのJanJanといたしましても、これから解散したら選挙、政界はどうなるのか、そういうことをいろいろと研究してみたいと思います。


図1.国会情勢
 まず、現在の国会の情勢ですが、現在国会議員の数はこのようになっております(図1参照)。衆議院では自民党が304人という圧倒的な多数をもっておりまして、それに31人の公明党がくっついて、与党が335人、それからあと無所属などで自民党に常に同調する人が2、3人おります。そういうのを含めまして3分の2以上をもつ絶対多数を握っています。これは2005年のあの小泉さんの選挙のとき、非常に自民党が大勝したんですね。

 それに比べまして参議院の方は、まったく逆でございまして、民主党を中心とした民主党・新緑風会・国民新党日本、民主党とそれに同調する小会派、これを合わせて116人の数をもっています。参議院の定数は242人ですから121人で過半数、それに後一歩足りないところまできています。で、一歩足りない理由というのは、この渡辺新党という渡辺秀夫さんという人が民主党から飛び出しまして、それに同調する人が5人出てきたということで、その過半数、丁度過半数あったのがそれを割ってしまいました。

 しかしながら自民党とは絶対に相容れない共産党あるいは社会民主党それと連合する護憲連合というような人たちがおりますので、こちらはどうしても野党多数になります。で、今度総選挙をいたしますと、この衆議院の勢力はがらりと変わるだろうと言われています。参議院の方はまだ2年後まで選挙はありませんし、選挙があっても半分ずつしか変わらない、2分の1だけ変わるわけですから、この情勢は容易に変わらないだろう。現在は衆議院は自民党多数・与党多数、参議院は与党少数という、いわゆるねじれ国会になっておりますが、これがこれからどうなるかということですね。

 ここで選挙をすると、この情勢が一変して、ひょっとしたら民主党多数になるかもしれない。まあ、多数にならないまでも第一党、自民党を上回って第一党になりそう。憲政の、こういう民主主義の世の中では第一党が内閣を組織するのが通例でございますので、そうなると民主党が内閣を組織するんじゃないか、政権が移動するんじゃないか、こう言われている訳なんですけれども、果たして第一党になっても絶対多数、過半数をもてるかどうか、これはいろいろと問題になるところです。


図2.平均株価
 ところでこの選挙ですけれども、今選挙で何が争点になっているのか、何が国民の選択になっているのか、このことについて考えてみる必要があります。と言いますのは現在、世界の経済は大変なんですね。大不況・大恐慌前夜というような状態です。それを示しているのがまずこの株価です(図2参照)。この株価を見ていただきますと、日本の株価、これはずーっと高いところにあったのですが、ここで大暴落をして、最近は年初来一番安い、2001年どん底からずーっと上がってきてから非常に低い水準に下がっています。

 これは日本だけではなくして、アメリカの株これはいわゆるサブプライムローン、所得の低い人に住宅ローンを貸してた、これが破綻したもんですから、金融大恐慌になりまして、どんどんと株が下がってきています。で、中国。これもものすごい勢いで上がってきた。これは上海のA株というんですが、これがものすごい勢いで上がってきたのが大暴落してる。これはもう、ここが6000でここが2000ですから、3分の1になっているわけですね。これ位中国の株も値下がりしています。こういう大不況の情勢がある。これが世界の金融です。

 これだけではありません。一時いわれていたインフレ傾向が次々と終焉してきている。例えばこの一番元になりましたこの石油の価格、石油が値上がりしたことがすべての始まりなんですが、この石油の値段がどうなっているかと言いますと、これが石油の値段(図3参照)。

図3.原油価格
国際的に使われているこのアメリカの石油取引ですね。ウェストテキサスという石油の種類なんですが、この値段が65ドル、1バーレル65ドルでした。これが一昨年の1月ですね。それから上がったり下がったりしておりました。そして去年の7月、これから上がりだすんですね。去年の7月ぐらいからずーっと上がりだした。そして100ドルを超えて、そしてとうとう一番高い時には140ドルまでいきます。それが最近また下がってまいりまして、まあ100ドル代、これくらいに下がっているわけです。ここ辺りから、つまり今年の夏ですね、この辺りから世の中はインフレからデフレ、大不況に動きつつある。

 石油で見ると、まだそれ程はっきりいたしません。これを他の物で見るとどうか。比較的値上がりしたままで下がってないとうのは、この銅とそれから食料です。銅の場合は、やはりこの05年の1トンが40万円という値段からずーっと上がって100万円の水準にきた。まあ今も大体、90万円と100万円の間を維持しておりまして、銅の会社、銅を産出するチリとかモンゴルとかは大変今潤っております。これもまあこの辺が天井でちょっとじりじり安いかなという感じですね。

 それから穀物、この小麦とかとうもろこしとか大豆。こういう物でございますけれども、これは大体この今年の2月くらいが一番高かった。それで後はじり安でございますが、それでも以前の水準に比べますと、かなり高い水準になってますね。この食料は恐らく来年も食料危機の傾向があるでしょう。何故かと言うと、石油が値上がりすると肥料が足りなくなるので、来年は凶作になるだろうと。こう見られているのでなかなか下がらないのです。

 それに比べて大暴落している、一時値上がりしたけど大暴落している物があります。それは運賃、船の運賃です。この船の運賃の標準になるバルチック海運指数というのがあります。これはバルチック(つまりヨーロッパの北の方ですね)からアメリカへ行く、これの船の値段、傭船料というんですが、船を借り切る値段が相場の基準になっています。これが実に2,500位の指数から一時は12,000くらいまでいったんですね。この船の相場というのは物凄く荒っぽいもので、上がるときと下がるときが極端です。どーっと上がった。

 一時こう高い時はですね、中古船の方が新造船より高いという時代があったんです。中古船なら今すぐ使える、新造船を注文しても2年先になる。だから新造船の値段よりも高い値段で中古船を買って、今すぐ儲けようという。そういう時代があったんですね。ところが大暴落をいたしました。これは中国を初めとするアジア諸国の荷動きが少なくなった。それでたちまち船が余って大暴落したんですね。だから船会社というのは大変こう相場の荒っぽい世の中に生きているわけです。

 こういうのを見ますと、共通して言えることは、どうやらインフレ、資源や食料が値上がりする時代が終わった。どうやら世の中は不況に転じている。これで世界中大変なんですね。今、あらゆる国々がこの株価の大暴落を如何にして防ぐかということが大きな焦点となっています。
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