このところ「どうなる日本、どうする日本」というテーマで日本を取り巻くいろんな問題を取上げておりますが、先週と今週は中国の話を取上げています。
今、中国ではオリンピックが大々的に開かれているわけなんですけども、このオリンピックにも中国らしい巨大さが滲んでいます。何をやるにも大きな国ということですね。
こちらに中国の地図と国旗がございますけれども(ビデオ参照)、この中国の地図を見ていただきますと非常に国土が広い、これは当然でございます。日本の25倍あるんですが、ここにある中国の旗・国旗というのがなかなか面白いんですね。「五星紅旗」、五つの星のついた紅い旗ということですが、アメリカの国旗には50の星がついています。各州の星がついています。EUの旗には12、元々の加盟国の星がついています。でも、どの国の星も大きさは同じなんですね。アメリカの50の星は大きさは同じです。だからカルフォルニアやニューヨークのような大きな州も小さな州も同格だとゆうようになっていますね。
中国の旗は初めからですね(星が)1つだけ大きいのです。後4つ小さいんですね。これはやはり中国は漢民族の国である。5族協和、5つの民族が協和しているとはいえ、やはり中国は漢民族が特別やっぱり中心なんだと、こういうことを示してるんですね。そんな話を最初にしたのは、中国という国は意外や格差の大きい国だということなんです。
今、中国はどんどんと経済が成長しております。世界各国の経済成長率を見ましても中国だけが、特に21世紀に入ってからは世界のどこよりも中国が高くなっています。これを見ますとですね、日本はこの黒い線ですが、かって日本は今の中国ほどの成長をしていました。そしてその後、日本が成長率が落ちた。その後、今度は韓国が日本の元気の良かったときに近いほどの成長率をしましたが、今は下がっています。
そしてその後中国が出てきた。従って、日本・韓国・中国と、こういうような雁行形態。雁がずーっと並んで飛んでいるように、先に行く人・その次に行く人・そして後の国というのが進んでいるんだという説があります。しかし、必ずしもそう簡単な話ではありません。いろんな問題が中国には大成長の影で、非常に高い成長をしてきたので、いろんな問題があります。
中国という国を、これは前回もお見せしたんですけれども、いろいろと中国の数字がありますが、その中で注目すべきなのはこの輸出。輸出が1兆2千180億ドルもあります。これは世界で1、2を争う大きな輸出量、ドイツに続く、アメリカ・日本を上回るような金額になっています。それに比べて輸入は少ない。従って3千億ドルくらいの輸出超過、外貨が貯まる仕掛けになっています。これは中国が国内で消費するのが少なくて外国に売っているのが多い。だから外貨をどんどん貯めこんでいるということですね。
もう一つの特徴は、この高速道路です。高速道路は既に3万キロの高速道路が作られて、そしてあと6〜7年で3万5千キロに達するだろうと、こう言われているんですね。ご存知のように日本が高速道路を最初に作ったのは、あのオリンピックの年、1964年に名神、大阪と名古屋ですね、これが最初に出来ました。だからそれから数えますと既に34年経っています。34年経って日本の高速道路は7千5百キロなんです。総延長7千5百キロ。中国が最初に高速道路を作らせたのは13年前なんです。それで今もう3万キロ。2015年には3万5千キロ作ろうと。このスピードはすごいですね。日本の4分の1の期間で3倍の道路を作った。
私も中国の高速道路をよく使います。例えば上海からこの間は洛陽という河南省のところまで行ったのですけれども、その間ずーっと高速道路が続いている。それは日本の東名や名神なんかに比べると幅は倍くらいある。日本は最高時速80キロになっておりますけれども、中国は120キロ。それぐらい巨大な物をあっという間に作った。これはすごいと言えばすごいんですけれどもその反面、中国の経済は輸出と建設でもっている。消費需要が少ないということなんです。
ご存知のように経済学ではS=I、だいたい貯蓄する・お金を貯める金額とそれを投資する金額、これは匹敵してなければいけないと、こう言うんですが、中国では皆さんが貯蓄率が非常に高い。40%以上。今の日本は10%以下ですが40%以上貯金しちゃう。その貯金を投資に使わなければいけない。投資というのは設備投資と住宅投資と公共投資ですね。でまあ住宅はものすごい勢いで建っています。工場設備もものすごい勢いでできています。そして公共事業もどんどんやっている。けれどもまだ個人消費が非常に少ない。
アメリカあたりでございますと、全需要の70%以上が個人消費。日本ではだいたい55%くらいが個人消費。ところが中国では個人消費が40%くらい、非常に少ないですね。これが大きな問題点です。そのために、中国ではいろんな建設に必要な資材が輸入される。一方では工業製品がどんどん輸出されているんですが、いろいろと建設素材が輸入される。このために、人を使うよりも物を使うような時代になる。中国といえば人海戦術と思われていましたけれども、今は全然逆なんです。
例えば上海あたりにある最新の縫製工場など行きますと、人がびっくりするほど少なくて、工業用ミシンがコンピューターで指示を受けたのをだーっと作っているような、そういう工場が非常に増えました。また、今の高速道路の建設現場に行きましても、中国の建設といえば人海戦術で大勢の人がやっているんじゃないかと思ったら、超大型の機械が動いている。人影はそれほど多くない。こういう状態なんですね。
そのために中国では、労働需要が伸びる以上にこの電力の需要などが増えました。これは中国の発電量を示した物ですが(グラフ参照)、21世紀になってからものすごい勢いで発電量を増やしている。それにもかかわらずこの夏、オリンピックで皆がテレビを見出すと電力不足だ、というので工場には順番に日曜だけでは無しにウィークデイも順番に工場を休んでくれ、というような通達が出ているような有様です。従ってどんどんと今、発電所を作らなければいけない、という問題があるのですが、それと平行して石油の消費量も、ものすごい勢いで増えてきました。
ご覧のように1986年、この時代にはですね中国は石油の輸出国でした。日本も中国の石油、渤海油田とか、そういうのに非常に期待して、中国から石油を輸入しようという話が沢山あった、事実輸入していた訳ですね。ところがどんどんと経済成長して、93年くらいからこれが逆転をいたしまして、今や中国は石油の輸出国ではなくして、ものすごい輸入国になってしまいました。大輸入国になったんですね。それが今、石油化学が非常に高騰している大きな原因だ。中国の需要が多いから世界的に需給が逼迫するんだというような問題も出ています。
これを反映して、こういう物が沢山必要だという中国経済を反映して、中国は物価の上昇が始まっています。消費者物価ですね。これはまだ1年前までしかありませんが、消費者物価は一時下がったんですが、最近になって上がりだした。特に最近はこれが6%ぐらい上がった。急激にここにきて消費者物価が上がった。そうするとこれを抑えるために金利を増やすとか、金融を引き締めるとか、引き締め政策をとらなければならなくなってくるだろうという問題があります。この物が使いすぎている、急激に使い出した、急激に使い出したことによる問題。消費者物価の上昇、それが中国の今、直面している第一の問題です。