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堺屋太一のビデオコラム Vol.113 〜どうなる日本、どうする日本〜 第9回

編集部2008/08/04
いよいよ始まる北京オリンピック。2年後の2010年には上海万国博覧会が控えています。中国・高度成長の陰に潜む問題とは一体何でしょうか?国の大きさに比例して広がり続ける悩みは、隣国日本にも甚大は影響を及ぼすのです。
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堺屋太一のビデオコラム〜どうなる日本、どうする日本〜 第9回(17分3秒)

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ビデオコラムよりテキスト化・一部抜粋

北京五輪スタジアム
 このところずっと「どうなる日本、どうする日本」ということで、日本の危機、迫り来る危機という感じでお話をしておりますが、今日は特に中国の問題についてお話をしたいと思っております。この月には中国で北京オリンピックが開かれる。後ろに出ておりますのが(動画参照)有名な「鳥の巣」と言われる北京オリンピックのメイン会場ですけども、これが非常に大きなものなんですね。これの基本設計をしたのは、ヘルツォーク&ド・ムーロンというスイスにある設計会社、ヘルツォークという人とド・ムーロンという人がやっている会社なんですが、この設計を「コ・アーキテクチャー」協力建築家としてやったのは、アイ・ウェイウェイという中国の設計家でした。最近中国でも建築設計が非常に盛んになりまして、世界的に有名な人たちが出てきています。

 ところでこの「鳥の巣」、これからオリンピックが開かれると随分皆さんご覧になると思いますが、これが実に巨大なものなんです。例えば同じオリンピックでも、東京で開かれました64年の東京オリンピック。あれのときに作りました国立競技場と比べてみますと、まず敷地の面積が約3倍あります。そしてそこで占めている面積、これに至っては4倍近い。スタジアムの面積もやはり2倍半位ございます。それから全ての物が非常に大きくて、ご覧のように複雑な格好をしております。これ全体に使われた鉄骨の量が10万tというんですね。日本で言いますと東京タワーが4千tですから、東京タワーの25本分くらいの鉄を使っている。そんな巨大な構造になっています。

 中国というのは何をやるにしても、大きな事をやる。これがすごいところですね。このオリンピックが8月に終わりますと、再来年の5月から上海で万国博覧会が開かれます。これが今映されている万国博覧会の会場の絵なんですけれども、これも上海の都心のど真ん中であります。そしてその面積がお金のとる範囲、これだけで324ha、日本万国博覧会、あの大阪で開かれた40年前の博覧会に比べましても約2倍の面積。愛知万国博覧会に比べますと3倍くらいの面積があります。それくらいの広大な面積で、今、上海市ではこの博覧会を開くために300kmの地下鉄を作って、100地下鉄の駅を増やす、そういう建設をしています。

 何事についても中国と言うのは大きな国なんですね。だから看板ひとつでも非常に大きい。飛行場を作っても非常に大きい。オリンピックも博覧会も非常に大きい。これが中国の一番の特徴なんです。大きな国であるということですね。

 それでこの中華人民共和国とは、どんな国か。まず大雑把に考えて見ますと、人口は13億人。日本の10倍です。面積は960万km2。日本が37万km2ですから大体25倍くらいある。耕地面積も1億5千万ha。日本は550万haですから、これでいいますと日本よりずーと大きいですね。日本の27倍も農耕地がある。ただし、日本の農耕地は、ほとんど全てが水田。お米を作る水田です。それで生産性は非常に日本の土地は高いんですね。だからこれは直接比較する訳にはいきません。中国では、お米を作るところがまあ大体3分の1、小麦を作るところが3分の1、あとは牧草地のようなところが3分の1。そういう関係になっていますので、かなり日本よりは生産性は低い。面積は広いですが、農業の問題が深刻になりつつあります。

 それから1人当たりの国内総生産、いわゆるGDPですね。これを比較して見ますと、中国は成長したとはいえ、現在1人当たりで2,460ドル。日本は34,312ドルでございますから、これで換算しますと日本が約1人当たりでは14倍ということになります。だから人口が10分の1でも、全体としてのGDPでは日本の方が経済生産力は大きいということになります。

 ただし、これからお話いたしますように、中国では非常に格差がありまして、高いところと低いところの差が非常に大きい。従って高いところだけとると、かなり日本に近づいているという現実があります。勿論、日本に近づいているといっても3分の1ぐらいですけれども、かなり近づいているところがあります。

 平均寿命ですが、これも中国の経済の成長とともに伸びてきました。しかし今、中国の平均寿命は72歳。日本が82歳でございますから、丁度10歳ほど日本の方が長い。この10歳伸びる間にやはり日本では30年近くかかっています。そういうような時期をお考えいただければいいかと思います。

 それから電力の1人当たり消費量。これも家庭の電化とか、クーラーが入るとかいうようなことで、どんどん成長いたしますし、産業電力の使用量も非常に多い。それから街の明るさとか、そういうものとも非常に関係ありますけれども、これで見ますと中国の1人当たり消費量は、1,401Kwhということになります。で、これも日本と比べますと6分の1程度なんですね。だからまだまだ中国は国全体で見ると、電化が進んでないと、こういうことがいえるでしょう。
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