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堺屋太一のビデオコラム Vol.105 〜どうなる日本、どうする日本〜 第1回

編集部2008/04/07
今回からは、新シリーズ〜どうなる日本、どうする日本〜をお届けします。 平成20年度が始まり、テーマを日本の基本的な問題に絞って掘り下げていきます。 株価やGDP値の下落が続き、霞む『経済大国・日本』。 皆さんも真剣に、<これからの幸せ>について考えて行きましょう。
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vol.105 〜どうなる日本、どうする日本〜 第1回(15分08秒)

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ビデオコラムよりテキスト化・一部抜粋

図@1人当たりGDP国際順位とA5大経済国の世界GDPシェア
 平成20年度が始まりました。これから、少しこの番組もテーマを変えて、この1年間「どうなる日本、どうする日本」と、こういう題で日本の基本的な問題を掘り下げて行きたいと思います。いま、日本は景気も悪くなってきました。国際関係も非常に複雑といいますか停滞しています。いろんな面で日本はどうなっているんだろうか。そして、これを良くするためには、どうすればいいんだろうか。こういった大きな問題を抱えています。これをひとつひとつ解明して、分解してお話ししたいと思うわけです。

 まず、今日はその第1番目として、日本は今どうなっているのかについてお話したいと思うのです。といいますのは今年の1月、通常国会が始まるときに、大田弘子・経済財政担当大臣が「日本の経済はもはや1流ではない」と、言いました。これはおそらく大部分の日本人には驚くべき話だったのではないかと思います。

 日本は軍事は小さい、政治はそれほど上手でもない、外交も下手だ、けれども経済だけは一流だ。「経済大国日本」という言葉は、我々の世代、あるいは団塊の世代の方々、もう少し下の今の40代の方々までには滲み通っている話なんですね。日本は経済大国であり、経済で世界に貢献をしてきた、世界中に援助をしてきた。そう思い込んでいたと思う。ところが、もはや1流でない。日本は経済の点で2流国だ、という宣言が政府の責任者、経済財政担当大臣から出たんだから驚きです。

 では、その実態はどうなのか。まず、第1に見ていただきたいのはこの図です。(図1参照)これはこの番組で前にもお見せしたことがございますけれども、国民1人当たりのGDP、国内総生産で日本の順位がどれくらいか、というのを示したものであります。

 この図で見ますと、いまから30年ほど前ですね。1980年には17位でした。それが81年には14位になり、そして86年には5位になりました。89年、この年にはアメリカを抜いて2番目になった。人口1,000万人以上の国では1位になった。そして1993年、この年には人口45万人のルクセンブルクという国を除きまして1位になりました。実質1位でございます。そういうようにどんどん上がって来たわけですから、まさに日本は経済大国でありました。

 ところが、このときすでに日本の経済は傷ついていまして、この頃からバブルが崩壊する。そして金融機関が大量の不良債権を抱える。さらに建設会社とか大手流通(会社)とか、いろんなところに土地の値下がりで日本経済は傷みきってきた。そして、だんだんと日本は経済成長率が疲弊して低下し出すわけです。

 その結果、1998年、これは私が経済企画庁長官になった年なんですが、このときは大不況でございました。いわゆる「貸し渋り」、「貸しはがし」というのがあって中小企業がどんどん倒産する、大企業も倒産をする。これを改善するために政府は必死に対策を打ちました。そのなかで不良金融機関、たとえば当時の日本長期信用銀行とか日本債権銀行とか、50以上の金融機関を整理しなければいけない。そういう荒っぽい手術をいたしました。その結果、98年から少し良くなります。98年には日本は6位まで下がっていたのが2000年には3位に回復することが出来ました。

 ところが、それからがいけません。21世紀になってから日本はどんどんと順位が下がります。世界の国々が非常な勢いで経済が成長しているときに日本だけはあまり成長しなかった。この間政府は、ずーっと「好況だ、好況だ」と言い続けてきたんですが、じつは世界からどんどん遅れまして、2006年、一昨年には18位まで下がった。これは1980年ごろよりもずっと低い水準なんですね。日本は発展途上国に逆戻りしつつあるのではないか。これを大田弘子・経済(財政担当)大臣が「日本はもはや1流の経済大国ではない」と言ったところなんです。

 この結果、日本にはさまざまなことが現れています。(図2参照)たとえば世界の5大経済圏というものがありますけれども、それはアメリカとEUと、そして日本、それに中国、ロシアが入って5大経済圏と、こういう言い方があるんですが、それで見ますと2001年、21世紀が始まったときには日本は世界経済の13.3%を占めていました。ところが今や日本のシェアは10.3%。この5年間で3%縮小したんですね。

 アメリカも縮小しています。それに対して拡大したのはヨーロッパなんです。ヨーロッパがEUの経済統合をしたことによって成長力を回復して2001年には28.6%だったものが今や32.5%に拡大している。その次は中国です。中国はこの間10%の経済成長を続けまして4.2%から5.1%になった。そしてロシア。これも2001年ごろには経済が破綻状態でありました。それがここのところ資源、石油や石炭や金属鉱物がどんどんと値上がりしたことで回復してきて、いっきに1.8%に増えました。

 そのほか、いわゆるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)。インドでありますとかブラジルでありますとかオーストラリアでありますとか、そういうところも成長している。そのなかで日本は一番伸びが少なかった。こういう状態であります。

 そして、そのことを日本の経済成長率で見てみるとどうか。これがその図でございますけれども、この時代、1956年から73年、いわゆる高度(経済)成長時代というのは日本の成長率が平均して9.1%、まあ10%成長を実現していたんですね。それが、この74年から90年、これは石油ショックの後です。石油危機の後になりますと経済成長率がガックリと落ちて、平均3.8%に下がります。そしてこのバブル景気の後、90年代になりますとこれが1.3%に下がってまいりました。

 現在は日本は非常に低い成長率、諸外国に較べて低い成長率なんですね。このことが先ほど申し上げましたシェアの縮小にも反映されています。
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