政治  
トップ > 政治 > 堺屋太一のビデオコラム Vol.102 3月政局の焦点(1)

堺屋太一のビデオコラム Vol.102 3月政局の焦点(1)

編集部2008/03/10
果たして『道路』は必要なのか?首都圏と地方で広がる感覚の温度差。今回は、以前から議論されている『道路』問題にスポットを当ててお話します。複雑に絡む燃料税と道路財源の関係は、私たちの生活に密接する重要な問題なのです。
NA NA NA_テーマ2


ビデオコラムよりテキスト化・一部抜粋
 3月に入っていよいよ国会が大詰め、というよりは年度の末でございますので、この3月中に予算案を上げなければいけない、そういう大きな問題があります。そしてその後には予算が終わると次の予算以外の問題、これが出てまいりますし、予算関連法案というのも出てまいります。

 その一方、外国では次々と大きな選挙が行われています。ついこの間はロシアで大統領選挙があって、メドベージェフという現在のプーチン大統領が推薦した人が圧勝しました。続いてアメリカの選挙。これは今年の11月まで続く長い選挙ですけれども、たいへん盛り上がってまいりました。まさに3月政局というのは、たいへんに大きな問題が山積しています。そこで、これから3回にわたって、この3月政局というものの焦点を探ってみたいと思います。

 焦点になりますのは3つであります。第1は予算に関連してご存知の道路財源の問題。ガソリン税の暫定税率を維持して道路財源にするか否かという問題が第1です。2番目は公務員の改革。これは私も原案作成委員として参加いたしまして答申したものですが、この公務員改革をどうしていくか。これが3月中にひとつの結論を出して4月からは法案審議に入る、そういうような状態になっています。

 3つ目はアメリカ大統領選挙です。これは民主、共和、2大政党の候補がほぼ3月中に決まるだろう。そして11月の本選挙に。民主党が勝つか共和党が勝つかと、こういうような戦いになるわけですね。今、そのことはいろいろと報道されておりますけれども、その結果、日本にどうなるのか、これはまだあまり議論されていません。そういうことを含めてお話をしたいと思います。

 さて、今日はその第1弾、道路特別会計の問題であります。道路特会問題というのは、ご存知のように、燃料でガソリン税などが道路建設・補修の財源になっている。特別会計で燃料税にかかったものはすべて道路の関連に使う、こういう具合になっているわけです。これをどうするかという問題なんですが、それにはやや複雑な問題があります。

 まず、ご覧いただきました(ビデオ参照)ように、ガソリンの値段――いま、ガソリンの値段が140数円、地域によってかなり違いますけれども、このガソリン税の中でまず第1に必要なのは、もちろん原油ですね。原油の料金を払わなければいけない。これがどんどん値上がりしていることが第1の問題です。

 輸入した原油を日本で精製いたしまして加工する。そのことによって重油からガソリンまで、いろんな油種に分かれます。その中でいちばん高級な軽いのがガソリンなんですね、揮発油なんです。その揮発油を作って、今度はガソリンスタンドで売る。販売の費用が要ります。日本の場合はわりと販売が細かいので、その手間、費用もかなり諸外国に比べて安くはありません。

 ここまでがガソリンに本当にかかっている費用なんですね。普通の商品でしたらこの値段で売られています。そこにガソリン税、税金がガボッとかかっている。これが現在のところ約52円かかっているわけですけれども、その52円の中で、まず基本税率というのが半分なんです。26円と考えてください。そして暫定税率――これは、暫定、暫定といいながら、もう40年も続けてきた税率なんですけれども、田中角栄さんのときからずーっと続けてきた税率なんです。これが、もう26円。合せて52円ぐらいかかった。このガソリンから取ったお金をぜんぶ道路特会に入れているわけですね。これがいいか悪いか、という問題なんです。

 だいたい税金というものは、いろんな税源、たとえば個人の所得であるとか法人の利益であるとか、あるいは消費税のように流通過程の付加価値であるとか、そういうような経済活動で価値が上がった、簡単に言うと「儲かった」、それに税金をかけるわけです。ガソリンの場合は特別に物品税として、ガソリンで儲かった儲からないではなしに税金をかける。これは私が40年前に通産省におりまして、この税金を作るという議論を盛んにいたしました。

 その時はどんな議論だったかといいますと、まだ高速道路とかそういう道路ができていない。それで一般道路−一般道路というのは市民も歩けば自動車も通る、その他に隣近所の人のお祭りの場にもなれば噂話の場にもなる。そういう、いわゆるコミュニティ・ロードなんですね。そういうものを自動車が走っている。

 ところが鉄道は自分で線路を作っているじゃないか。鉄道の費用は自分で線路を作っていて、その費用も含めて運賃が決まってくる。自動車の方はタダで作ったところを走っているじゃないか。これで、どんどんと鉄道が衰退して自動車が流行る。これは不公平だ、だから自動車の方も道路にかかる費用は負担しろよ、と。受益者負担ですね。自動車に乗る人は道路が良ければそれだけスイスイ走れる利益がある。だから、これを負担しろ、と。こういうことになったわけです。
FSSTREAM 映像の配信には富士ソフト(株)の【FSStream】を使用しています。
・映像配信(ストリーミング)は、Windows用「Internet Explorer 5.5以上」に対応します。ほかのブラウザ、OSには対応していません。
・初めてご覧になるときはプラグインをインストールします。「セキュリティ警告」のダイアログボックスが表示されますが、「はい(y)」を選びます。自動的にプレーヤーがインストールされ、ストリーミングがスタートします。
>>初めてストリーミングをご利用になる際の注意点

>>堺屋太一ビデオコラム

シリーズ一覧:

記者会員メニューにログイン

記者ID

パスワード


ネットニュース JanJan

JanJanとはQ&A報奨制度個人情報保護方針編集局へのメッセージ会社概要

JanJanに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。全ての内容は著作権法並びに国際条約により保護されています。
Copyright © 2002-2009 JAN JAN. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.