政治  
トップ > 政治 > 堺屋太一のビデオコラム vol.99 スタグフレーションの黒い影(1)

堺屋太一のビデオコラム vol.99 スタグフレーションの黒い影(1)

編集部2008/02/18
懸念される『サブプライム』の危険増殖。1970年代の石油危機に起きた不況の現象が、今再び迫りつつあります。他国と比べ最も顕著な日本の株価下落と、これから不況本番を迎えるといわれるアメリカ経済。『金融』から端を発した経済の悪循環は、更なる低迷を日本にもたらすのでしょうか?
NA NA NA


ビデオコラムよりテキスト化・一部抜粋
――このところ株が下がっています。日本だけではなく世界中の株が下がっています。これは何を意味するのか。私はスタグフレーションの黒い影というのを感じます。スタグフレーションというのはインフレーションとスタグ−−不況とをつなぎ合わせた言葉なんですね。世間は不況なのに物価だけが上がる、最悪の状態です。これは1970年代、あの石油危機のときにできた言葉なんですね。あの石油危機のときには、たいへん世界中が不況で、そして物価が狂乱物価と言われるほど高騰しました。そういうような影がまた近づいているのではないか、そんな気がするんです。

まず、世界中の株の動向についてご覧いただきましょう。これは(ビデオ参照)日本とアメリカと中国とドイツの平均株価を表しています。まず、これが日本ですね。日本の株はご覧のように、今年に入ってから大暴落してますね。相当大きく値下がりをしました。そして次がアメリカの株。アメリカの株もこの直近のところ、去年の暮れあたりから相当下がっています。しかし、日本よりはマシなんですね。それから、その次がドイツの株。これは、ヨーロッパの代表として挙げたんですが、これも直近のところで大暴落をしていますね。そして、これは中国の株です。中国の株は去年一年間に3倍になりました。そして、最近ドッと下がってきていますけれども、去年の初めに較べればまだまだうんと高いところにある、そういう状態なんですね。まあ、これを見ますと日本の株が一番下がっている。これはいったいどうしたことか。上がらないでどんどん下がっている。この問題を、これから3週間続けてお話したいと思っています。

まず、事の始まりは常にアメリカです。アメリカが今、不況である。これはどういう仕掛けで不況になったのか。このグラフ(ビデオ参照)をご覧ください。まず、アメリカで最初に起こったのはサブプライムローンという問題ですね。これが破綻したことが始まりだと言われています。だいたい金余りになる、お金が余ってくる。そうすると貸し出しが増えます。当然、お金が余っているから金融機関は貸し出しを増やしますね。そうすると貸す相手がだんだん無くなってくる。それで信用度の低い相手にまでお金を貸す。投資対象をどんどんと拡げていく。そうすると今まで住宅とか設備投資できなかった会社、住宅を買えなかった人々が買うものですから値上がりをしますね。投資対象が値上がりをする。このことによってひとつのブームが沸きます。

これは2つに分けて、企業の場合はジャンクボンドと言われました。1990年、今から20年ぐらい前にはこの信用度の低い会社の出す社債、これをジャンク−−クズですね、クズのボンド(bond:債券)と言ったんです。もちろん、クズだから信用度は低いんですがその代わり利回りが高い。そういうような債権をどんどん発行して、それで設備投資をする、不動産を買う、そんな会社がたくさんできたんです。これは投資対象である設備が値上がりする、あるいは不動産が値上がりすれば上手く行くのですが、そうでなければ困ります。今回は設備投資ではなくて、企業の発行した社債ではなくて、個人に住宅ローンを貸す、これがサブプライムですね。

サブというのはサブマリン−−潜水艦とかサブウェイ−−地下鉄とかいうように、だいたい下の方のことをサブ(という)。だからプライム−−信用度が下の方だというようなことを言うわけですが、そういう信用度の低い人々にお金を貸してそれで住宅を買わせたんですね。この住宅が値上がりしているうちは、このサブプライムもうまく行きました。それでアメリカの経済はここのところずーっと成長してきた。それがこのアメリカのダウ平均に表れてますね。(ビデオ参照)ずーっと値上がりしてきました。このサブプライムがうまく動いている間ずーっとこちらから数年間、2001年から2006年まで、ずーっと値上がりしてきたんです。ところが2007年になって、このグラフに出ておりますように暴落が始まりました。じゃあ、それはいったいどこに問題があるのかというと、こういうような(ビデオ参照)循環になっています。――
FSSTREAM 映像の配信には富士ソフト(株)の【FSStream】を使用しています。
・映像配信(ストリーミング)は、Windows用「Internet Explorer 5.5以上」に対応します。ほかのブラウザ、OSには対応していません。
・初めてご覧になるときはプラグインをインストールします。「セキュリティ警告」のダイアログボックスが表示されますが、「はい(y)」を選びます。自動的にプレーヤーがインストールされ、ストリーミングがスタートします。
>>初めてストリーミングをご利用になる際の注意点

>>堺屋太一ビデオコラム

シリーズ一覧:

記者会員メニューにログイン

記者ID

パスワード


ネットニュース JanJan

JanJanとはQ&A報奨制度個人情報保護方針編集局へのメッセージ会社概要

JanJanに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。全ての内容は著作権法並びに国際条約により保護されています。
Copyright © 2002-2009 JAN JAN. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.