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回り続けて80年、大型遊具「飛行塔」稼動中 生駒山

2009年3月26日23時28分

写真:80年間親しまれてきた飛行塔。冬の間にお色直しを済ませ、明るい雰囲気になった=生駒山上遊園地80年間親しまれてきた飛行塔。冬の間にお色直しを済ませ、明るい雰囲気になった=生駒山上遊園地

 奈良の生駒山上遊園地が27日、開園80周年を迎える。そのシンボルは1929年の開園と同時に稼働した飛行塔(高さ約30メートル)。現存する国内最古の大型遊具とされる。四方につり下がった4機の飛行機が浮き上がってゆっくり回転して上昇、西に大阪平野、東に大和盆地を一望できる。時代とともにその景色は変わる一方、今なお現役で子どもたちの大空への夢を乗せている。

 同遊園地などによると、標高642メートルの生駒山上に遊園地を建設したのは大阪電気軌道(現近鉄)。飛行塔は「大型遊具の父」とされる故・土井万蔵氏が考案した。

 戦前に造られた各地の大型遊具は戦時中、軍事用の鉄資材として接収され、ほとんど残っていない。この飛行塔は海軍航空隊が防空監視所として使用したため、奇跡的に取り壊しを逃れた。定期的に更新する飛行機とワイヤをのぞき、塔の本体は開園当時のまま残っている。

 ふもとにある宝山寺の前で旅館「たき万」を営む奥垣守弘さん(74)は戦前、山上にそびえる飛行塔を見上げて育った。「当時、飛行塔に展望台があり、大阪平野をながめるため友達とよく一緒に登った」

 遊園地は今季も冬場の閉鎖期間を終え、14日から営業が再開された。息子一家とともに訪れた堺市の畑中浩さん(61)は「小学生だった昭和30年代、姉と一緒に乗って、大阪湾までくっきりと見えた」と振り返る。この日は孫の爽良(そら)君(4)と一緒に乗り、喜ぶ姿に目を細めながら、「今は大阪上空のスモッグが濃く、昔ほどよく見えなくなってしまった」。

 80周年を記念し、27日から3日間、通常1人500円の飛行塔が各日先着1千人が無料となる。問い合わせは同園(0743・74・2173)へ。(岸上渉)

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